国内外の企業を次々と買収し、産業用ロボットのシステムインテグレーション(ロボットSI)事業への参入を表明した日立製作所。IoT(Internet of Things)基盤「Lumada」を中核に据え、ものづくり事業を容赦なく切り離すなど“脱製造業”を進める同社にとって、製造業ど真ん中のロボットSI事業への参入は全社的な方針と矛盾しているようにも思える。だが、そこには同社が熟慮を重ねた上での狙いと勝算がある。

日立製作所は2019年3月から4月にかけて国内外のロボットSI事業者の買収を相次いで発表した。同社子会社の日立産機システムがケーイーシーを、日立本体が米JRオートメーションテクノロジーズを買収する。既にケーイーシーの買収は完了した。JRオートメーションも、2019年内の買収完了を目指す。(出所:日立製作所)
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製造業大手の生産技術部門が弱体化

 ロボットSI事業の主な訴求先は、自動車メーカーをはじめとする製造業大手だ。従来、自動車メーカーなどの製造業大手は自社に強力な生産技術部門を持ち、生産ラインや設備を自ら開発していた。産業用ロボットを使った自動化システムも、例外ではない。ロボット自体は既製品を調達するにしても、ロボットシステムの設計や運用は生産技術部門が担っていた。このような生産技術力こそが、日本製造業の強さの源泉でもあった。

 だが、今後は多くの製造業が生産技術部門にこれまでのようなリソースを割けなくなると日立製作所は見る。「自動車メーカーやティア1、2クラスの自動車部品メーカーからは、開発にエンジニアリングリソースを集中しなければ、本業で勝てない時代になってきたと聞いている」(同社)。

 ただでさえ豊富な知見を持つベテラン技術者が退職していくのに、今後は生産技術部門がさらに弱体化する恐れがあるということだ。一方で、世界的な労働力不足や人件費高騰に備えて、ロボットの活用は加速させる必要がある。必然的に、外部のリソースに頼らざるを得ない。日立製作所はそこに商機を見いだしている。

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