大手電機メーカーが相次いで産業用ロボットのシステムインテグレーション(ロボットSI)事業に参入する。NECは、自社工場の活用ノウハウを注ぎ込んだパッケージサービスの提供を開始。日立製作所は日米でロボットSI事業者を買収し、一気に攻勢をかける。

 両社がロボットSI事業に参入するのは、労働力不足や人件費高騰で今後産業用ロボットの需要が急速に増えるからだ。国際ロボット連盟(IFR)によれば、全世界における産業用ロボットの販売台数は、2017年に38万1000台だったが、2021年には63万台まで増える見込みだ。2021年までのCAGRは14%に達する。

全世界での産業用ロボットの販売台数は増加基調にある。2017年までは実績値、2018年以降は予測値。(出所:国際ロボット連盟)
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 産業用ロボットは、買ってきただけでは機能しない。実際の現場で稼働させるには、所望の動作を登録する教示(ティーチング)や、周辺設備と同期を取る作業などが必要になる。そのため、それらを担うロボットSI事業に大きな商機があると両社は見ている。「2018年から2023年までのロボットSI市場の年平均成長率(CAGR)は10%超と想定している」(日立製作所)。

 既存のロボットSI事業者のほとんどは中小企業であり、ロボットメーカー各社の実質的な“系列企業”であることも少なくない。そんな市場にNECや日立製作所のような大手電機メーカーが参入するのは、一見すると不可解に映る。

 だが、今後は状況が変わる。最大の変化は、これまで自前でロボットシステムを構築してきた自動車メーカーなどにおいて人的リソースが不足するようになり、外注が増えることだ。「自動車メーカーやティア1、2クラスの自動車部品メーカーからは、開発にエンジニアリングリソースを集中しなければ、本業で勝てない時代になってきたと聞いている」(日立製作所)。

 従来は、自動車メーカーなど大企業の主に生産技術部門がロボットシステムの企画・設計を手掛け、ロボットSI事業者はそれを忠実に構築するという関係だった。今後は、ロボットシステムを含めた生産ライン全体の企画・設計から担える「ラインビルダー」ともいうべきロボットSI事業者が求められる。必然的にプロジェクトの規模が拡大し、NECや日立製作所のような大手電機メーカーにとっても魅力的なビジネスになっていくというわけだ。

物ではなくデータで稼ぐ

 ただし、ロボットSI事業の収益性はこれまで特に日本において必ずしも高くなかった。「労働集約的」「手離れが悪い」「顧客の設備投資動向に左右されやすい」といった構造上の課題を抱えているからだ。事業の「選択と集中」で利益率の改善を進めている両社にとって、同事業への参入はその足かせとなる恐れがある。

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