ダイハツ工業が2019年7月に発表した新型軽自動車「タント」。新しく開発したガソリンエンジンに、2回連続で点火する新技術などを採用して熱効率を高めた。一方でエンジン全体のコストを従来機に比べて抑えた。安価な軽自動車を主力に据えるダイハツの真骨頂である。

 新型ガソリン機「KF-VE7」の自然吸気(NA)版に採用した新しい連続点火技術で、クールドEGR(排ガス再循環)による吸気側に戻す排ガスの量を従来機「KF-VE5」に比べて大幅に増やした。吸気ガスに占める排ガスの比率であるEGR率は最大3割と、世界最高水準に達する。

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ダイハツが開発した新型ガソリンエンジン「KF-VE7」。(撮影:日経 xTECH)

 新型タントの燃費性能は、最大の競合車と言えるホンダ「N-BOX」を上回る。NAガソリン機の搭載車で27.2km/Lに達し、N-BOXの27.0km/Lを上回った。ダイハツの社内基準で、実用燃費は先代車に比べて9%向上した。なお、ターボ搭載ガソリン機にはクールドEGRを採用していない。

 EGR率を高めて多くの排ガスを気筒に戻すと、ポンピング損失を減らして熱効率を高められる。一方で気筒内に排ガスが増えると、点火した後に失火しやすくなる課題が生じる。

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クールドEGRの外観。大幅な小型化を実現しているようだ。(撮影:日経 xTECH)

 さらにダイハツは吸気ポートの形状を工夫して、気筒内に入れる空気の縦渦(タンブル)を従来比で2倍に強めた。燃料と空気を混合させて高速燃焼を実現して熱効率を高められる一方、これも失火しやすくなる方向だ。

 EGR率を高め、タンブルを強めても確実に点火するためにダイハツが開発したのが、2ms程度と短い間隔で連続点火する技術である。1回あたりの点火エネルギーは40mJと普通だが、短時間で2回連続点火することで60mJ相当のエネルギーに高められる。

 1回目の点火で火炎核の成長が遅い場合に2回目の点火でエネルギーを加えて火炎核の成長を促し、火炎伝播に移るのを早められる。連続点火できるプラグとして、日本特殊陶業製を採用した。デンソー製も検討したようだが、主にコスト面で日本特殊陶業製が優れたとみられる。

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