2019年6月下旬から、英国ロンドンで「サーペンタインギャラリー・パビリオン」の公開が始まり、話題を呼んでいる石上純也氏。国内でも注目プロジェクトの施工が最終段階を迎えている。山口県宇部市に19年12月にオープン予定のフレンチレストランだ。地中に埋め込むようにつくられたこの建築は、どのような発想で生まれたのか。

石上純也建築設計事務所主宰で、建築家の石上純也氏。手前はサーペンタインギャラリー・パビリオンの模型(写真:山田 愼二)
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山口県宇部市に建設中のフレンチレストラン「House & Restaurant」はどのような経緯で、地下を掘削するアイデアになったのですか。

 「レストランのテーブル」(2005年)と同じクライアントからの依頼です。テーブルのときは、独立したばかりのオーナーシェフが、新しい料理を目指すための「新しい空間」が要望でした。

 約10年たって彼の料理もだんだんとオーセンティック(正統派)になり、空間に対する要望も、本物志向になった。今回は新しいことよりも、時間の経過をうまく取り込んでいける空間を希望していることが、話をしているうちに分かってきました。

 鉄骨造や木造案を出したけれど、なかなかクライアントに気に入ってもらえませんでした。ピカピカで、きれいなものになるのがよくないと。

 ある日、古いビルの地下にある僕の事務所で打ち合わせをしているとき、防水用のぼろぼろのレンガ壁を現しにしているのを指さして、「こういうのがいいな」と言い出したんです。

 つまり、建築家がコントロールしきれない経年変化したもの。例えば、フランスのワイン蔵のような、古さと本物感がある空間をつくってほしいと言われました。

「House & Restaurant」の完成予想パース(資料:石上純也建築設計事務所)
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 建築における「古さ」とは何か――。最初から古さを持つ建築をどう表現するか、そういう建物のつくり方はどうしたらよいのか、結構悩みました。

 その結果、新しい建物が風化していくプロセスを踏まえ、人工物を自然に同化することが古さの表現になる、と定義しました。つくり方も、人工性と自然性が同じようなレベルで施工できれば、要望に応えることができるのではないかと捉えました。

 地中に穴を掘れば、自然と人工の中間という意味で古さを含む躯体(くたい)ができるのではないかと考え、案が出来上がりました。掘削はできるだけ機械を使わずに、手作業とし、それが型枠になります。

 土の状況によって、同じ敷地内でも場所によっては石が多かったり、土の色が緑っぽかったり、赤っぽかったりと、全然違った状況です。半分は自然任せ、半分は僕がコントロールしています。

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