まだまだ男性が多い日本の建築界。その中にあって、30~40代で最も名が知られた女性建築家の1人が永山祐子氏だ。永山氏は今、2つのビッグプロジェクトに取り組んでいる。1つは2020年に開かれるドバイ国際博覧会(ドバイ万博)日本館の設計。もう1つが東京・歌舞伎町に2022年に誕生する超高層ビルのファサード設計である。共通するのは設計や施工のパートナーとの協働。永山氏がコンセプトを示し、関係者らと共有。チームワークで巨大案件を乗り切る。

永山祐子建築設計主宰の永山祐子氏(写真:北山 宏一)
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 「全部自分で設計しようなんて、最初から考えていない」

 永山祐子建築設計(東京都杉並区)代表の永山祐子氏は、小さな設計事務所が大きな仕事に関わっていくうえで、「これは私の作品だ」ということにはこだわらない。

 だからといって、じっとしていてもビッグプロジェクトに参加するチャンスは回ってこない。永山氏は積極的に大小様々なコンペに参加。ドバイ万博日本館の設計という国家プロジェクトに名を残すことになった。

2020年10月に開幕するドバイ万博の日本館。「水と風」「光と影」「幾何学模様と日本の伝統文様」がコンセプト。NTTファシリティーズと共同で設計する(資料:日本館広報事務局)
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 設計者に選ばれたのはちょうど1年前の2018年7月。公募が始まってから締め切りまで約2週間しかないという書類選考の短期決戦に、永山氏は勝った。共同で設計するNTTファシリティーズの参画が決まったのは、その後のことだ。

 永山氏が最も大切にしているのはコンセプトづくり。2週間で考え抜いた最初の提案書のときから、永山氏の主張は今も変わっておらず、一貫している。

 「Connect(つなぐ)」が全体テーマのドバイ万博で、日本館は建物で何を示せるか。公募後のプレゼンテーションでは、そこを明確にする必要があった。日本館は万博が終わると取り壊されるので、お金をかけられない。限られた予算で、日本と中東のドバイとのつながりをどう表現するか。

 永山氏は常に、建物が立つ地域のリサーチを欠かさない。砂漠が広がる暑くて乾燥したドバイでは、水と風が何より大切だ。実は海水を淡水に変える装置を日本企業が納めていることを知った。

 それとは別に、イスラム国家では一般的な幾何学模様が日本の伝統文様と似ていることにも着目。日本館を立体格子で覆い、水と風で揺らめかせて「光と影」を表す提案をした。

 このアイデアが採用された。すると永山氏が考えたのは、関係者全員にコンセプトを伝えることだ。建築家の仕事は何も、図面を描くことだけではない。むしろ、コンセプト共有のために立ち振る舞うコーディネーターこそが自分の役割だと、永山氏は自覚している。

 だから自分自身がブレない姿勢を貫き続ける。提案者が常に進むべき方向を指し示せば、立場が異なる人たちも同じ道をたどっていけると信じている。

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