田根剛氏は、京都市内で計画中のプロジェクトに、町家の解体で生まれた廃材を活用することを検討している。廃材を集成材に加工して、建物の外装や内装に用いる。田根氏へのインタビュー後編はまず、こうしたアイデアが生まれた背景について聞いた。

Atelier Tsuyoshi Tane Architects(アトリエ・ツヨシ・タネ・アーキテクツ)代表で、建築家の田根剛氏(写真:山田 愼二)
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京都で計画中のプロジェクト「10 kyoto」は、京都の町家を解体した際の廃材を集成材として再利用するものです。なぜそのアイデアが生まれたのですか。

 このプロジェクトは、食やアートギャラリーが一体となった施設を京都市内につくろうというものです。京都は開発が進み、ここ数年は毎年800戸くらいの町家が取り壊されて中層のマンションができ始め、京都ではなくなってしまうんじゃないかと、訪れる度に痛々しいなと思っていました。

 一方で、京都市内の建物の解体によって、1日に8〜10トンも集まってくる町家の廃材を何とか使えないかと考えたのが始まりでした。

京都市内に計画している食やアートギャラリーを併設する施設「10 kyoto」の完成予想パース。解体される京町家の廃材を集成材に加工して外壁に用いる(資料:Atelier Tsuyoshi Tane Architects)
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 京都の古材を集め、新しい京都をつくるというイメージです。いろいろな時代の古材があり、それぞれが建てられた当時の建築技術が、木材の仕口などに残っています。職人のノミの跡や棟梁(とうりょう)が書いた文字なども。

 木材自体も樹齢100〜200年のものもあり、現在使われている外来材とは違う質感を持っています。それらが燃やされたり、捨てられたりするのは、もったいない。もう一度新しい生命を得て、京都の街で生きながらえるといいなと考えました。

令和のメタボリズムが京都に

 僕たちは「古材集成材」と呼んでいますが、それらを外壁に利用しようとしています。くぎを1本1本手で抜くのは大変な作業ですが、家具や内装まで、ふんだんに使っていきたい。建物が完成した後も古材は集まってくるので、それらをまた外壁のメンテナンスに利用するなど、常に代謝していくことを考えています。

令和版のメタボリズムとも言えそうですね。

 部分的に少しずつパッチワークのようになって、時代が積み重なっていく。メタボリズムというよりは、何だか建築の遺伝子組み換え作業のような気もしますけど。

「10 kyoto」の内観予想パース。内装にも京町家の廃材を用いる(資料:Atelier Tsuyoshi Tane Architects)
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