「テクノロジー活用の本質」をテーマに、日本を代表するCIO(最高情報責任者)やCDO(最高デジタル責任者)、有識者など約40人が議論した。日経 xTECHが2019年6月18日に都内で開催した「ITイノベーターズ会議」で飛び出した発言を紹介しよう。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)では、経営層から早期の成果を求められ、うまくいかない場合もある。会合では「既存ビジネスに近い領域のDXと新事業創出のDXで組織を分ける」「あえてROI(投資利益率)を気にしない組織をつくる」といった意見が出た。

既存事業の改善と新事業の創出、DXを2つに分ける

――アクサ生命保険 執行役員 ITデリバリー本部長 玉置 肇 氏

 アクサ生命保険の玉置肇執行役員ITデリバリー本部長は「私もそうだが、経験を重ねてくると、既存のビジネスモデルから脱却して物事を考えにくくなりがちだ」と問題意識を吐露する。

アクサ生命保険の玉置肇執行役員ITデリバリー本部長
(写真:井上 裕康)
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 DXには、既存事業を強化するものと、既存事業から脱却した新事業を創出するものがある。既存事業を強化するDXはROIによる管理が可能だろう。一方、新事業を創出するDX投資は、早期に回収できるとは限らない。さらに、新規事業の創出は、既存事業を担当する立場だと意思決定が難しいものだ。

 そのため、フランス・アクサグループではDXを担当する組織を2つに分けているという。

 1つは「AXA REV」という組織だ。新規事業ではなく、既存事業の悩みをデジタル技術で解決する。例えば、AIを使って問題がありそうな保険金の請求を検知したり、AIを組み込んだOCR(光学的文字認識)で手書き書類を自動でデータ化したりといった取り組みを進めているという。

 もう1つは「AXA Next」という組織。AXA REVと違って、基本的にROIの責任を負わないのが特徴だ。AXA Nextの役割は、「デジタル技術を徹底的に使った保険やサービスを世に送り出し、新しいビジネスの創出を目指す」(玉置氏)ことである。例えば、ブロックチェーンを活用した新しい保険、情報端末を使って保険料を算出する「テレマティクス保険」などの開発を進めているという。

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