本記事は、日経エレクトロニクスの過去記事「止まらないEVの充電器の高出力化、SiCモジュールが小型化の切り札に」を改題して再掲載したものです。社名や肩書きは執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 「電動車両の充電器にこそSiCを」――。あたかもこうアピールするがごとく、SiCパワーデバイスを手掛けるメーカーがハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)といった電動車両の充電器向け製品を、パワーデバイスの展示会「PCIM Europe 2018」(2018年6月5~7日、ドイツ・ニュルンベルク)に出展していた。

 パワーデバイス最大手のドイツInfineon Technologies社は、300kWを超えるような、2台以上の電動車両を同時に充電するための高出力充電器で、SiC MOSFETを搭載したモジュール製品の出番が増えるとみる。例えば300kWを実現する場合、Siパワーデバイスを利用した出力15kWの電力変換器ユニットを20個利用する。その上、同ユニットはディスクリート部品で構成する場合が多く、ユニットサイズは幅19インチ×高さ3HU(Hight Unit)×奥行き800mmと大きいという。同ユニットの出力を20k〜30kWに増やす取り組みもなされているが、小型化に限界があるとみる。

SiC MOSFETを搭載したモジュール製品。高出力充電器に向くとする。
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 一方、損失が小さいSiCモジュールであれば、出力を60kWに高めて5個で300kWを達成しつつ、かつ各ユニットの大きさを幅19インチ×高さ2HU×奥行き800mmに小型化できる。この結果、300kW級の充電器を「大幅に小型化できる」(Infineon社 Industrial Power Control Division, Principal Application EngineeringのMartin Schulz氏)とみている。

 Infineonは、電動車両の航続距離が延びるにつれて、充電器に求められる出力電力が従来の50kWから、150kW、350kWへと今後5年以内に大きくなるとみている。350kW出力の場合、電圧は1000V、電流は350Aに達する。

InfineonのSchulz氏
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三菱電機傘下企業もSiC充電器をアピール

 三菱電機傘下のドイツVincotechも、SiCパワーデバイス製品の応用先として充電器を有望視する。同社は、太陽光発電システムのパワーコンディショナー向けのパワーモジュール、中でも小容量品に強みを持つ。それだけに、パワコン市場とは別の市場を開拓するため、充電器向けSiCモジュールをアピールしたとみられる。

Vincotechのブース。SiCが前面に押し出されている
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 PCIM Europeでは毎年、Vincotechは親会社の三菱電機とは別のブースを構えて、製品をアピールしている。2018年は、特にSiCを前面に押し出したブース作りだった。これまで、SiC製品をアピールしていたのは三菱電機だけだった。

 Vincotechのブースの目立つ場所には、スイスABBの充電器が置かれていた。この充電器に、VincotechのSiC製品が採用されていることをアピールしていた。

VincotechのSiC製品が採用されているABBの充電器
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