台湾では「全民健康保険」(National Health Insurance:NHI)への加入が義務付けられている。日本の国民皆保険制度と同じように、保険料を納付すれば病気になった際に診療や薬の費用の一部が医療機関に支払われる。日本と異なるのは、医薬品の処方などの医療データをクラウドに集約して積極的に活用していることだ。検査画像の集約も始まるなどシステムは進化を続けており、将来はデータを活用した新たなサービスの創出につなげていく。

居留証を持つ人も加入の義務があるため日本語のハンドブックも用意されている
(撮影:日経 xTECH)
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 医療データは「健保医療情報クラウドシステム(NHI MediCloud System)」に集約される。医師は診察時にNHI MediCloud Systemで、医薬品の処方や検査、薬物アレルギーなどの患者のデータを参照し、より正確な診断に役立てたり、検査や投薬の重複を減らしたりする。全民健康保険を管轄する衛生福利部 中央健康保険署で主任秘書(Chief Secretary)を務めるFengming Yeh氏(葉 逢明)は、NHI MediCloud Systemについて「患者の安全・安心に貢献している」と胸を張る。システムは進化を続けており、直近に処方された薬を医師が再び処方しようとすると警告が出るようになった。

クラウドの活用例
(出所:衛生福利部 中央健康保険署「全民健康保険ハンドブック」)
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 集約するデータの種類も増やしており、2018年1月にはCT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)などの画像データの収集も開始した。CTなどの検査は特にコストが高いため、異なる病院でそれぞれ検査するのではなく、データを共有してコスト削減につなげる。これまで容量が大きい画像データは後回しになっていたが、ネットワークの通信速度が向上したことで集約できるようになった。

衛生福利部 中央健康保険署で主任秘書を務めるFengming Yeh(葉 逢明)氏
(撮影:日経 xTECH)
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 今では台湾のほとんどの医療機関がNHI MediCloud Systemを活用しているという。約3万の病院や薬局(病院が約4000、クリニックが約2万、薬局が約6000)がVPN(Virtual Private Network:仮想私設網)経由でクラウドに接続する。

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