かつて世界を席巻した日本の電機産業が、凋落の一途をたどっている。

 液晶産業の復活に向けて日本政府はジャパンディスプレイ(JDI)を全面的に支援してきたが、その再建策は迷走した。JDIは、2019年4月に、台中連合3社から最大800億円の金融支援を受け入れることを発表した。ところが、再建の枠組みは二転三転している。

 いずれにしても、2012年にJDIの設立を主導した経済産業省管下の「官民ファンド」は、この再建枠組みの下でJDIのかじ取りから実質大きく後退することになる。液晶産業のかつての輝きを官民挙げて取り戻そうと試みたのだが、現実を変えることは難しかった。液晶産業に限らず、半導体メモリーなどでも、同様の歴史が繰り返されてきた。

(出所:PIXTA)

 では、GDP(国内総生産)の1割を占めるほどの大きな存在感を持つ自動車産業に目を転じてみると、一体どういう風景が広がっているだろうか。そこでもまた厳しい情景が見えてくる。自動運転技術や電気自動車などの台頭で、自動車産業は100年に1度と言われる変革期に突入した。トヨタ自動車社長の豊田章男氏は、「海図なき航海だ」という表現で今後の自動車産業を待ち受ける厳しい市場環境を語っている。米グーグル(Google)など、他産業から虎視眈々と自動車産業への参入を狙っている企業も多い。

 日本の自動車産業は現在も高い競争力を保っている。しかし少し気になるのは、この産業は大きな転換期をこれまで経験したことが無いということだ。自動車産業のこれまでの経験は、内燃機関中心の技術体系を維持したまま、所詮はその枠内での改良的変化に対応したにすぎなかった。体系が変わるほどの大きな変革期を、乗り切った経験が無いのである。

 それは例えるならば、フィルムカメラからデジタルカメラへの移行のような、技術体系そのものが大きく転換する経験だ。周知のようにその転換過程で、米国を代表する名門企業の1つだったコダック(Kodak)は経営破綻したのである。日本の屋台骨ともいうべき自動車産業は、押し寄せる大きな変革の波をこれから迎えようとしており、その波を乗り切れるのか真価が問われる局面にある。

条件は2つ

 では、学ぶべき産業は一体どこにあるのか。学びの対象になる産業は、少なくとも2つの条件を満たしていなければならないだろう。

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