世界2位のタイヤメーカーであるフランス・ミシュラン(Michelin)が、変革を余儀なくされている。2008年にタイヤ首位の座をブリヂストンに明け渡し、10年以上にわたりトップに返り咲けていない。追い打ちをかけるのが、中国を中心とするアジアのタイヤメーカーの台頭だ。アジア市場の成長分を奪われ、2004年には19.4%だったMichelinの世界シェアは、2017年には14.0%まで落ち込んだ。

 シェア争いで苦戦するMichelinは、次世代の車両技術「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」に活路を求める。だが、オランダ・トムトム テレマティクス(TomTom Telematics)の買収合戦でブリヂストンに敗れるなど、新たな収益源の育成は想定以上に難航している。

 Michelinの変革を先導するのは、2019年5月にCEO(最高経営責任者)に就任したFlorent Menegaux氏だ。現フランス・ルノー(Renault)会長で日産自動車取締役のJean-Dominique Senard氏からCEOの重責を引き継いでの船出となった。新CEOのMenegaux氏に、逆襲に向けた戦略を聞いた。

(聞き手は窪野 薫=日経 xTECH)

日経 xTECHなどの取材に応じたMichelin CEO(最高経営責任者)のFlorent Menegaux氏
1962年生まれ。コンサルティング会社や物流会社を経て1997年にMichelinに入社。乗用車・商用車用のタイヤ事業や、材料部門のトップを歴任した。2014年12月にCOO(最高執行責任者)、2018年5月にゼネラル・マネージング・パートナーに就任。Renaultの会長に就任したJean-Dominique Senard氏の後任として、2019年5月から現職。(撮影:日経 xTECH)
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世界2位のタイヤメーカーのCEOとして何をやり遂げる考えか。

 キーワードは変革だ。Michelinには130年の歴史があるが、これまで会社が存続できたのは、時代に合わせて企業体制や製品ラインアップを変えることができたからだろう。私のCEOとしての使命は、Michelinを次の変革に導くことである。

 前CEOのSenard氏は多くの変革を先導してきた人物だが、私も彼の考え方を引き継いでいく。Michelinが次の100年を存続するためには、変化し続けることが重要である。そのためには、全従業員が協力して職務を全うしなくてはならない。これは大きな挑戦を意味している。

 競争を制するために変革を絶え間なく進めていくが、核となる事業はタイヤから変えるつもりはない。製品ラインアップやサービス、そして提供するソリューションを刷新していく。また、グルメ格付け本「ミシュランガイド」を展開しているのもMichelinの特徴だ。こういった、エクスペリエンス事業の拡大も目指したい。

タイヤメーカー以外との競争も激しくなっている。

 私はMichelinに入社して20年以上になるが、競争相手は時代とともに変化してきた。今では、本当の競争相手はタイヤメーカー以外にいると考える。米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)や中国・阿里巴巴集団(Alibaba Group Holding、アリババ)といったデジタル企業が競争相手になる可能性もある。

 Michelinが技術を蓄積中の金属材料で造形する3Dプリンティングについて言えば、米ゼネラル・エレクトリック(GE)をはじめ、競争相手は無数に存在している。あらゆる領域に未来の競争相手が潜んでいるため、幅広い市場を注意深く観察していく。新たな競争相手に対応するためには、Michelinとして変革は欠かせない。

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