北海道苫小牧市に本社を置く會澤高圧コンクリートは、先進的な欧州のベンチャー企業との技術交流を契機に、建設用3Dプリンター(以下、3Dプリンター)の活用に乗り出した。同社が狙うのは、インドを舞台としたバイオトイレの普及事業だ。3Dプリンターでトイレのハウジングを建設する計画だ。

 同社は、2016年ごろから3Dプリンターに着目。当時、活用事例が紹介され始めた欧州や中国などに出向き、情報収集を重ねてきた。なかでも目を引いたのが、オランダのサイビー・コンストラクション(CyBe Construction、以下サイビー社)だった。

 サイビー社は、3Dプリンターの研究開発で最も先進的な企業の1つ。ロボット制御技術を開発する企業やフランスの大手ゼネコンなどと共同開発をしたり、ドバイで3Dプリンターを使った建物を実現したりしていた。

 會澤高圧コンクリートの會澤祥弘社長は、サイビー社の実績を基に課題を洗い出したうえで、自社ならではの積層造形の在り方を見極めるべきだと判断。サイビー社とライセンス契約を締結した。そして、18年9月にABB社(スイス)の大型ロボットアームとサイビー社のコントローラーを組み合わせたセメント系材料用の3Dプリンターを導入した。

會澤高圧コンクリートが導入した3Dプリンター。ロボットアームはスイスのABB製、コントローラーはオランダのサイビー・コンストラクション製だ。造形テストを繰り返して、3Dプリンターの可能性や課題を探っている。履帯付きで自走できる。横2.5m×奥行き1.5m×高さ3mまでの造形が可能だ(写真:奥野 慶四郎)
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 これまでの造形テストでは、大きさこそロボットアームの可動範囲内に限られるものの、積層する過程で断面が変化していく形状や手描きの絵をモチーフにした形状など、有機的な自由形状を造形できると確認済みだ。

導入した 3Dプリンターによる造形テスト。積層する過程で断面が変わっていくような自由形状でも造形できることが分かる。試作した造形物のサイズは横1.4m×奥行き0.7m×高さ0.8m。幅40mm、高さ20mmのモルタル材料を毎秒平均20cmのスピードで吐き出し、10分間で40層を積み上げた。試作品の圧縮強度は36.7N/mm2だ(動画:會澤高圧コンクリート)
形状や大きさなどを変えて試作した造形物の数々。写真手前の花びらのオブジェのように、手描きの模様でも積層して立体化できるのは、3Dプリンターならではの特徴だ(写真:奥野慶四郎)
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