DTx(デジタル治療)の開発に参入する企業のうち製薬企業は、自社で注力する疾患領域を対象にDTxと医薬品の併用療法を視野に入れている。一方で、完全に医薬品の代替を目指してDTxを開発するベンチャー企業がある。不眠症を対象としたDTxを手掛けるサスメド(東京・中央)がそれだ。同社のDTxは、人の考え方や認知の偏りを修正する精神療法の「認知行動療法」を基にしている。患者がアプリに日々の睡眠や行動の情報などを入力すると、認知行動療法を基にした内容が発信される(関連記事)。現在、日本で臨床試験を行っている段階だ。

 サスメドが睡眠薬の代替を目指すのは、日本で睡眠薬の投与頻度の高さが課題になっているからだ。睡眠薬の処方量を適正化するため、2013年に「睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン」が公表された。ガイドラインは、「睡眠薬の処方頻度が高まる中、一部の患者でみられる長期服用時の依存が社会問題化している」と指摘する。

 さらに診療ガイドラインは、睡眠薬の処方と平⾏して、睡眠指導や認知⾏動療法を推奨している。しかし、人手不足などの影響もあり、日本では認知行動療法を実施できる医療機関がそれほど多くないのが現状だ。睡眠薬の処方に頼る現状を改善するため、「アプリを通じて認知行動療法を提供できないかと考え、開発を始めた」とサスメド代表取締役の上野太郎氏は話す。

サスメド代表取締役の上野太郎氏
(写真:日経 xTECH)

 上野氏は、一般的な健康管理アプリではなく、あくまで承認申請を目指すDTxの開発にこだわった。「承認を得ないと『不眠症を治療する』とは表現できない。そういった製品でなければ、睡眠薬の処方量の問題は解決できない」と上野氏は力を込める。

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