アプリなどソフトウエアを活用して治療する「デジタルセラピューティクス」(Digital Therapeutics:DTx、デジタル治療)。米国では既にいくつか実用化されており、このほど日本でもベンチャーのキュア・アップ(東京・中央、佐竹晃太社長)が、禁煙治療を受けるニコチン依存症の患者向けのDTxを承認申請した。DTxはここ数年で誕生した新規の製品。事業の拡大に課題はあるものの、それを突破できれば、患者や医師にとって治療の選択肢が増える他、産業界では、DTxを開発する新興ベンチャーが増加したり、製薬企業にとっては医薬品以外の収益源になったりする可能性がある(図1)。

図1:デジタル治療(DTx)の現状や課題、未来
DTxの実用化は米国が進んでおり、製品が販売されている。日本ではキュア・アップが規制当局に承認申請した段階だ。(図:日経 xTECH、イラスト出所: PIXTA)
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 キュア・アップのDTxは、患者が自分の気分や服薬状況、呼気中の一酸化炭素(CO)の濃度などをアプリに入力すると、個別化された治療ガイダンスがアプリに配信される。例えば患者が「たばこを吸いたくなった」とアプリに入力すると、アプリを通じて「ガムを噛(か)みましょう」「部屋の掃除をしましょう」などと具体的な行動が提案される。一方で医師は、患者が入力した情報を診断の際に補助として活用できる仕組みになっている。

キュア・アップの治療用アプリの臨床試験の結果を報告する記者会見には多くの報道関係者が集まり、注目を集めていた。
(出所:キュア・アップ)
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 キュア・アップは、DTxを承認申請した日本で初めての企業だ。DTxを販売するには、臨床試験を行い、安全性と効果を確かめてから、規制当局である医薬品医療機器総合機構(PMDA)に承認申請する。PMDAの審査を経て承認を得る必要がある。

 キュア・アップのDTxの臨床試験の結果は、標準的な禁煙治療と同社のDTxを併用した方が、約半年後に禁煙を継続する患者の割合が高かったという(関連記事)。2019年5月30日に記者会見したキュア・アップ社長の佐竹氏は「2020年に保険適用し実用化を目指したい」と意気込んでいた。

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