ショベルカーなど建設機械の操作ミスは人命に関わる重大事故につながりやすい。特に仕事に慣れ始めたオペレーターほど自分の腕を過信しがちだ。誤操作による事故をシナリオ仕立てにしてVR(仮想現実)で疑似体験するシステム「Safety Training System of AKTIO」を建機レンタル大手のアクティオが開発した。コンテンツやヘッドマウンドディスプレーなどのレンタルサービスとして2019年8月に提供を開始する。

アクティオが開発した安全教育システムの映像
VR(仮想現実)を活用して建設現場で起きがちな危険な事故を疑似体験する(出所:アクティオ)

 上の動画はVR訓練の一例だ。ショベルカーは作業と運搬の2つの機能がある。油圧ショベルで土や礫(れき)を掘り起こす「掘削モード」と、重量物をつり下げて運搬する「クレーンモード」は切り替えて操作する必要がある。しかし掘削モードの方が機敏に動けるため、慣れたオペレーターは運搬モードに切り替えないまま重量物を運搬するケースが少なくない。

 掘削モードではワイヤなどでつった重量物が振り子のように揺れると、ショベルカーの重心が不安定になる。結果、横転事故が発生する。

 アクティオの藤澤剛IoT事業推進部課長は「実際の事故が起こる前にオペレーターを教育しない限り重大事故は減らせない。VR安全研修の目標は『僕は関係ない』と言う作業員を無くすことだ」と話す。アクティオのVRシステムは横転事故を再現してその怖さを肌感覚で理解してもらう。「死角に立つ作業員が旋回するショベルカーに巻き込まれる事例」など頻発する4種の事故を体験するVRコンテンツを提供する予定だ。

重量物の運搬作業で起きがちな事故を再現した映像
アクティオは頻発する4タイプの事故を体験できるコンテンツを提供する予定(出所:アクティオ)
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 建設現場にはかつて若手を指導するベテランが数多く存在した。しかし現在は業界全体が高齢化している。危険を伝え適切に叱るOJT(職場内訓練)は失われつつある。

 こうした状況に建設事業者は危機感を募らせている。座学による安全研修を実施しても作業員の実感は薄く、安全行動がなかなか身に付かないためだ。

 藤澤課長はVR安全教育に対する急速なニーズの高まりを感じているという。「建設会社などにはサービス開始は8月と伝えているが、『すぐに使いたい』という声が多い」(藤澤課長)。「VR安全研修の目標は『僕は関係ない』と言う作業員を無くすことだ」。

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