スタートアップをはじめとする海外企業が手掛ける、生活者・患者向けの健康・医療サービスの独創性、革新性には目を見張るものがある。いずれも機械学習やAI(人工知能)、IoT、モバイル端末などのヘルステックを活用している。この分野の先進事例を、利用者が実際に体験する順番に、(1)情報収集、(2)健康相談、(3)検査、(4)処方、(5)服薬管理に分けて紹介したい。

 まず(1)情報収集の新しい体験として紹介するのは、英国の国立機関であるNHS(National Health Service:ナショナル ヘルス サービス)の事例だ。NHSでは、健康・医療に関する情報案内にAI搭載の音声アシスタント「Alexa(アレクサ)」を採用し、信頼性の高い医療情報を音声で読み上げる仕組みの提供を2019年7月に開始した。高齢者や目の不自由な人、インターネットが不慣れな人などでも、パソコンやスマホを介さずに、信頼性の高い医療情報を入手できる新たな手段となっている。

(出所:PIXTA)
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 次に、世界のどこからでもスマホで(2)の健康相談を受けられるAI搭載型アプリを提供しているのが、英Babylon Health(バビロン ヘルス)である。利用者がチャットボットに症状を伝えると、その症状をAIドクターが分析し、受診の必要性の有無なども含め、医療の「診断」にまで踏み込むような回答をしてくれる。アプリ上で医師との遠隔健康相談、さらには医療機関の受診予約までをシームレスにつなぐ。

 「AIドクターだと診断精度が気になる」といった声もあるだろう。バビロン ヘルスが開発したAIドクターに患者とのやり取りを学習させた結果、「MRCGPテスト」(研修中の一般開業医が受ける最終試験)で81%のスコアを獲得し、合格することに成功したという。

 このアプリは、英国ではNHSの支援も受けつつ、既に25万ユーザー以上に利用されている。ダウンロード数は英語圏を中心に世界で100万回以上に達しているという。医療従事者側からは医療の質・精度に対する懸念などの研究発表があるものの、NHSとしては生活者・患者の受診行動の適正化につながる取り組みとして捉えている。利用が増えるにつれて精度も向上するため、普及はさらに進むと期待される。

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