2019年6月に、がんゲノム医療に必要な「がん遺伝子パネル検査」について、公的医療保険の適用が承認された。私たちの日常の生活において、がんゲノム医療はより一層身近になったといえるだろう。

 がん遺伝子パネル検査では、主にがんの組織から多数の遺伝子を同時に調べ、遺伝子変異を確認した上で、効果が期待できる薬剤がある場合には、その薬剤の使用を検討するプロセスになる。こうしたプロセスで多数の遺伝子を先に調べられるようになった背景には、ゲノム解析に要するコストの劇的な低減が見逃せない。

 2000年初頭に実現した最初の「ヒトゲノム解析」は約10年間の歳月と数千億円の費用を要する一大国家プロジェクトだった。これが、シーケンシング技術やIT、クラウド技術の発展により圧倒的な性能向上とともに、わずか1日で10万円程度の費用で実施できる時代になった。

図●ムーアの法則を超える「ヒトゲノム解析」
(出所:米国立ヒトゲノム研究所のデータを基にアマゾン ウェブ サービスが作成)
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 今回はクラウド活用によるイノベーションの加速が顕著な「プレシジョン・メディシン」の海外先進事例を紹介していく。「プレシジョン・メディシン」とは、ゲノムなどオミックス(網羅的な生体分子の情報)のデータに基づいて、より精密な治療を実現する先進医療である。がんにおいては、患者固有の変異遺伝子を標的とした投薬による治療が期待される。

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