日本のヘルスケア業界は、少子化・高齢化に伴う人材不足や長時間労働、地方医療の崩壊など様々な問題を抱えており、厚生労働省の試算によると2036年までに2万4000人の医師が不足するという。

 そのような中、第4次産業革命や働き方改革の波が、医療・介護業界にも広がってきた。日本政府は2018年に、医療機関の効率化や医療従事者の負担軽減、先進的な医療サービスの提供を目指した「AIホスピタルによる高度診断・治療システム」の計画を始動した。

 一方、米国医科大学協会(AAMC)が毎年発表している医師の需要供給分析リポート最新版においては、米国では2032年までに最大で12万人以上の医師が不足すると試算している。米国をはじめとした海外諸国では、ヘルスケア領域の課題をテクノロジーで解決しようとする「ヘルステック」として、機械学習やAI、IoT、ビッグデータ、クラウドといった最先端技術の活用が欠かせなくなっている。

ヘルスケアにおける患者を中心とした法人の図(出所:アマゾン ウェブ サービス)
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 今後、ヘルスケア業界でのテクノロジーの活用には、大きく分けて3つのトレンドがありそうだ。1つは、ゲノムなどいわゆるオミックス(網羅的な生体分子の情報)のデータに基づいて治療をより精密・正確に提供する「プレシジョン・メディシン(精密医療)」のトレンドだ。

 もう1つは、ウエアラブル端末やIoTなどを活用してリアルワールド(現実世界)のデータから収集した個人の医療情報に基づいて、患者ごとに最適化した形で予防や介護も含むケアをより効果的に提供する、「パーソナライズド・ケア」のトレンドである。

 そして最後の1つは医療や介護の効率化や省力化、自動化を促す各種機器やロボット、機械学習が発展する「オートメーション」のトレンドだ。これらの大きなトレンドに従って、医療の質や効率の向上に資する先進テクノロジーが次々に投入されていくだろう。