人口は世界第4位の2億6400万人(2017年)、名目GDPは約1兆220ドル(2018年)と、東南アジア最大経済圏を持つインドネシア。米調査会社CBインサイツの2019年1月の発表によると、同国のEC(電子商取引)最大手トコペディアの推定企業価値は70億ドル(7600億円)に達する。ユニコーン企業(推定企業価値10億ドル以上の未公開企業)の10倍、100億ドルを超える「デカコーン企業」の予備軍だ。

 東南アジアの未公開企業では、シンガポールのライドシェア大手グラブ(推定企業価値140億ドル)、インドネシアのライドシェア大手ゴジェック(同100億ドル)に次ぐ存在とみられる。トコペディアにはソフトバンクグループや米有力ベンチャーキャピタルのセコイア・キャピタル、中国のアリババ集団などが出資する。

トコペディアのウィリアム・タヌウィジャヤ創業者兼CEO(最高経営責任者)。日本経済新聞社主催「第23回国際交流会議 アジアの未来」登壇のために来日した
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 2009年に創業したトコペディアの現在の総取扱高は150億ドル(約1兆6200億円)を超える。1997創業の楽天の流通総額は約3兆4000億円だ(2018年12月期、日本国内)。トコペディアも楽天などと同様、メーカーや小売店などにサイトを売り場として提供するモール(商店街)型のEC事業を展開する。現在約550万の商店が出店している。取り扱う商品数は1億5000万点。MAU(月間アクティブユーザー数)は約9000万人だ。

1万7000の島国で即日・翌日配送を

 創業以来10年、トコペディアがデカコーン予備軍としての評価を受けているのは、島国インドネシアが抱える物流の課題を技術とビジネスモデルで克服したからだ。

 インドネシアは約189万平方キロメートルと日本の5倍の国土に1万7000もの島がひしめく。国内総生産(GDP)に占める物流コストの割合は日本の約10%に対してインドネシアは約24%といわれる。商品を出品者から顧客のもとへ運ぶ際に、商品の金額よりも配送コストの方が高くつく、配送に時間がかかるため食品の賞味期限が近づいてしまう、といった問題が頻繁に起こっていた。

 この課題を克服するため、トコペディアはグラブやゴジェックを含む11の物流業者と提携している。出店者と購入者に配送業者を選ばせることで、配送の時間や品質を競わせるためだ。物流業者をつなぎ合わせたことで、インドネシア全土の97%をカバーする。

 加えて顧客が注文した商品に関してできる限り顧客の所在地から近い商店から購入するよう、物流業者を誘導してきた。現在、注文を受けてから即日または翌日に配送する商品が65%だ。同社は即日・翌日配送率を90~95%に高める目標を掲げる。

 目標達成の鍵を握るのはAI(人工知能)だ。物流業者や出店者のネットワークを活用し、膨大な販売データを基にAIで需要を予測する。ある商品に関して多くの需要が発生しそうな場所の近くに前もって商品を移しておき、配送時間の短縮につなげる。こうした「スマートな倉庫」を既に設置済み。今後インドネシア全土に展開する計画だ。

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