中国では1978年に実施した「改革・開放」政策によって、経済の自由化が進んでいった。以降、多くの人々が自ら会社を興した。起業家精神が提唱され、民営企業は目覚ましい発展を遂げた。

終わりなきユーザー争奪戦

 近年はITの進展とスマホの普及によって、中国人のライフスタイルが急激に変わっている。「財布よりもスマホをなくした方が大変」と揶揄されているように、人々の生活にスマホは欠かせない存在となり、スマホ上の様々なアプリを使うことで日常生活のデジタル化が急速に進んだ。

 こうした変化を支えているのはBATH4社(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)であることは間違いないが、IT分野は中国でも最も競争が激しい領域である。雨後の筍のようにベンチャー企業が誕生し、その中の何社かは「ユニコーン(企業価値が10億ドルを超える未上場企業)」へと成長したり、上場を成し遂げ、BATHへの挑戦者として名乗りを上げている。

 BAT3社はこれまでEコマースや、SNS、広告、コンテンツといった互いが得意とする領域への進出を繰り返し、競い合ってきた。現在、時価総額も売上高もテンセントやアリババの後塵を拝するようになったバイドゥは「All in AI」を打ち出し、新たな投資を加速している。

 一方、Eコマースや、SNS、FinTechサービス、リテール、投資活動など様々なジャンルにおいて、アリババとテンセントの戦いが続く。より豊かなエコシステムの形成で、より多くの便利なサービスを提供する3社は、より多くのユーザーを引き止め、自社の強みのある分野を守りたい思惑がある。

 だが、興味深いデータがある。2018年末までの過去1年間のアクティブユーザー数の増加ペースを見ると、「今日頭条」系列の抖音ビデオ(日本ではTikTokとして展開)が1年間で3億6100万人ものユーザーを増やし、トップに立った。

 2位は新興ECサイトの「拼多多(ピンドォドォ)」で、1億1500万人の新規ユーザーを獲得した。かつてBAT3社は年間億単位で新規ユーザーを獲得して成長を遂げたように、今日頭条と拼多多の動向が注目される。

BATHに次ぐ有力なプレーヤー

 スマホでニュースを読むのが当たり前の時代となった中国では、ニュース・情報類アプリの競争が激しい。その中で、勢いがあるのは挑戦者である今日頭条。今日頭条は2012年8月に北京字節跳動科技(バイトダンス・テクノロジー、2012年3月設立)がリリースしたスマホ向けのニュース・コンテンツ配信アプリである。個人向けにカスタマイズしたコンテンツの提供をビジネスモデルとし、他の競合サービスとの差別化を図っている。

 バイドゥ、今日頭条、UCブラウザ(アリババ提供)のニュースアプリを比べてみると、今日頭条が抜き出ているのは、推薦アルゴリズムによってユーザーごとにカスタマイズしたコンテンツを提供すること。これに対してUCブラウザはアリババのエコシステムを活用した他のサービスへの誘導に力点を置いている。

 バイドゥはバイドゥのブランド力と検索分野での強みを生かして、ユーザーを囲い込む。バイドゥのユーザーのマンスリー平均使用回数は低いが、アンインストール率も一番低い。3社はそれぞれの特徴を前面に押し出して、今後も厳しい競争を繰り広げていくだろう。

ニュース・コンテンツアプリ比較(2017年)
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