中国EC(電子商取引)最大手のアリババ集団(以下、アリババ)の業績が堅調だ。2019年5月15日に発表された2019年3月期の決算は、売上高が前年比51%増の3768億元(1元=17円換算で6.41兆円)、営業利益は同17.6%減の570億元(9704億円)だった。営業減益は株式報酬費用の増加や訴訟和解金によるもので、これらの影響を除くと、実質的には8.0%の増益だったという。

 アリババは中核事業のECで利益の大半を稼ぎ出す。だが、ECに頼るだけでは中長期の成長は描けない。そこで同社は次々と新たなサービスを打ち出して、収益源の多様化に動く。

生活インフラの提供者からデータ企業へ

 アリババの強みは自社サービスの拡大やベンチャー投資・買収を通じ、中国人の暮らしの基本を表す言葉である「衣、食、住、行(交通)」の全てを押さえていることだ。日々の暮らしを網羅するサービスのエコシステムを、グループ内で作り上げている。

 現在、アリババは5つのカテゴリー、すなわち(1)コアコマース、(2)デジタルメディアとエンターテインメント、(3)クラウドコンピューティング、(4)イノベーションイニシアチブ、(5)金融――の分野でサービスを提供している。

 アリババCEOの張勇氏は、「皆が知っているEコマースのアリババは、実はデータ企業に変わりつつある」とした上で、「Eコマース、金融、物流、クラウドおよびエンターテインメントはデータを生み出す重要なシーンとなる。アリババは生み出されたデータを駆動し、様々な業界の発展を促す」と発言している。言い換えると、ビジネスを通して生み出した様々なデータを活用して、新たなニーズを発見し、そのニーズに沿ったプロダクトとサービスを提供する――。アリババは、このようなデータを中心とするビジネス運営の好循環を作ろうとしている。

ニューリテールの躍進

 アリババが近年、特に力を入れているのが、ネット通販と実店舗の融合だ。「新小売り(ニューリテール)」というキャッチフレーズを掲げ、実店舗を持つ小売業界への参入を試みている。デパートやスーパーマーケットを運営する企業への戦略投資と買収を先行し、アリババのノウハウとテクノロジーを使って、これらの企業のデジタル変革を推進していく。

 2018年末時点で、約470の高鑫零售(総合スーパー)の店舗のデジタル化を終え、CtoCのECサイトであるタオバオのスマホアプリから商品を注文できるようになっている。

 ニューリテールの取り組みで最も注目されているのは、キャッシュレスの食品スーパー「盒馬鮮生」である。注文から決済、配送までの完全なデジタル化と、注文から30分以内の配達サービス(3キロメートル以内の距離)を特徴とする。店内では商品のバーコードにスマホをかざせば、商品の産地と流通ルートを確認できる。

「盒馬鮮生」の歩み
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