スキンケア製品や化粧品、洗顔料、衣料用洗剤など消費財を幅広く扱う花王。2018年12月期の連結決算は売上高が前期比1.2%増え1兆5000億円を超えるなど好調だ。EC(電子商取引)の普及で消費者の購買行動が大きく変わるなか、花王は人工知能(AI)技術の活用に活路を見いだす。

 2018年にはAI技術の応用を担う専門部署「先端技術戦略室」を設けた。先端技術戦略室を率いる花王の研究開発部門統括兼先端技術戦略室統括の長谷部佳宏専務執行役員に、新組織の役割などを聞いた。

(聞き手は田中 陽菜=日経 xTECH/日経コンピュータ)


AIの専門部署「先端技術戦略室」の役割と狙いは。

花王の研究開発部門統括兼先端技術戦略室統括の長谷部佳宏専務執行役員
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 研究開発や生産、販売など様々な部門の社員を集め、部署横断でAIを活用するために立ち上げたのが先端技術戦略室です。既存部署との兼務者が多く、私自身も研究開発部門(の統括)と兼務しています。

 先端技術戦略室の役割は「リエゾン」、つまり橋渡しです。各部署が手掛けたいことをきちんと理解して、課題を解決できる技術を持つIT企業を見つけ、AI技術を使ったシステムや仕組みを作り上げていくイメージです。

 具体的な事例でいうと、生産部門向けには画像解析による生産性の向上、販売部門向けにはチャットボットの活用、経営向けには財務分析や設備投資判断へのAI活用などが考えられます。こうした取り組みは先端技術戦略室を通じて全社で共有し、会社全体でAI活用を促進し、仕事の効率を高めます。先端技術戦略室は2022年には兼務者を中心に2000人が関わる体制になります。

外部のIT企業などとの連携は。

 花王は社内のAI活用について「外部のIT企業社と組んで進める」方針を決めています。我々はシステム開発やプログラミングを専門とする企業ではない。むしろやりたいことを明確にして、大手からベンチャーまで目的に応じて優れた技術を持つIT企業とタッグを組む方が早く成果を上げられます。

 先端技術戦略室のメンバーに求めるのは、部署の要望を取りまとめ、実現に必要な技術を目利きできる力です。ITの専門知識を求めているわけではなく、「IT好き」くらいの気持ちでいいと考えています。

研究開発分野におけるAI活用の最新の取り組みは。

 花王は2018年11月に新技術の「RNAモニタリング」を発表しました。この新技術にAIを組み合わせれば、目に見えない皮膚の状態を調べられると考えています。

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