壁体の合板が含む水分が引き起こす夏型結露(逆転結露)を実験で再現――。前回記事「乾燥材の試験体でも壁内結露のリスク」に続いて、日経 xTECH/日経ホームビルダーが実施した独自実験の結果を報告する。今回は通気層の有無による差と、「可変透湿気密シート」の効果に関する検証だ。

 通気層の有無は夏型結露の防止に効果を見込めるのか?――。今回はまずこのテーマの検証結果を報告する。

 前回記事で、試験体1(含水率を40%以上に高めた合板を使用、通気層を閉塞)について、防水層裏面(透明ポリエチレンシートの壁内側)の相対湿度などの計測結果を報告した。この報告のなかで触れたように、2019年4月23日から5月8日までの16日間に及ぶ計測期間中、試験体1の防水層裏面の相対湿度が100%に達した合計時間は87時間(実験期間全体の23.1%)だった〔図1〕。

〔図1〕試験体1と試験体3・4の計測値を比較
2019年4月23日から5月8日まで16日間の実験期間中、試験体1と試験体3・4で各計測値の推移を比べる。湿度が100%(結露する条件)になった合計時間は、試験体1が最も長い。3試験体とも含水合板を採用。試験体1は通気層を閉塞、3は通気層を開放し、防湿層はどちらも透明ポリエチレンシート。4は通気層を開放し可変透湿気密シートを防湿層に採用した試験体(資料:日経 xTECH)
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 試験体1の結果からは、含水率が高い建材を使った壁体で通気層が閉塞している状態では、夏型結露のリスクが相対的に高いことが分かる。1の結果と試験体3を比較してみよう。1回目の記事「『雨水浸入で合板が含水』を再現して実験」で仕様を説明したように3は、1と同じく合板の含水率を40%以上に高めたうえで、通気層の上下を開放した試験体だ。

 実験に加わっている神清(愛知県半田市)の神谷昭範常務は、次のように話す。「湿式外壁などで通気層を設けていないと、モルタルのクラックやアスファルトフェルトを留め付けるステープルの穴などから雨水が浸入し、壁内の合板が水を含んでしまう」。仕様上は乾燥材の合板であっても、このように後から壁体を構成する合板の含水率が上昇するケースは珍しくないという。

 試験体1と同じ期間で、試験体3で防水層裏面の相対湿度が100%に達したのは合計69.5時間と、時間ベースで1よりも約2割短かった。相対湿度が80%以上でも、合計時間は1より同じく約2割短い。この結果から、壁内の合板が一定以上の含水率であっても、通気層を確保できていれば夏型結露のリスクはある程度は軽減できることが分かる。しかし、試験体1との差が2割程度だったことを考えると、その効果は限定的と言うべきかもしれない。

〔写真1〕通気層の有無で効果の違いを調べる
実験施設の南側外壁に設けた4試験体。右端の試験体1(含水合板、通気層閉塞)と、右から3つ目の試験体3(含水合板̟、通気層開放)を比較する(写真:日経 xTECH)
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〔写真2〕通気を確保しても結露発生
通気を確保した試験体3でも結露水を確認。2019年4月23日の午後5時の様子。防湿層裏面に発生した結露水が、この時点で大量に付着していた(写真:日経 xTECH)
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 試験体3でも、実験を開始した4月23日から翌24日にかけて防湿層裏面に結露水の付着を確認。24日朝まで付着が続いた〔写真1、2〕。試験体3の防湿層裏面で相対湿度が100%に達したタイミングは、試験体1と一致していた。

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