車載通信ネットワークの議論は多い一方、置き去りにされがちなのが電源である。自動運転の実現には、電力の安定供給に主眼を当てた現状の構成だけでは対応できない。ドイツBosch(ボッシュ)が考える電源構成の将来像を3回に分けて連載する。第1回は法規に焦点を当てる。(日経 xTECH/日経Automotive編集部)

 将来の車両に求められる電源の構成や配置(パワーネットワーク、以下パワーネット)が、大きく変わる可能性がある。自動車メーカー各社が高度な自動運転機能(AD)や先進運転支援システム(ADAS)を今後発売する車両に搭載していくためである。

 ADやADASの実現には、センサーによる周辺環境の認識や車両の制御(経路計画や運動制御)といった安全に関わる多くの機能が必要になる(図1)。

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図1 パワーネットは一層重要になる
自動運転の実現には、多くの機能を組み合わせる必要がある。1つのパワーネットで電力供給する仕組みでは限界がある。(出所:ボッシュ)

 現状の同一電源を活用したパワーネットのままでは、乗員もしくは歩行者に危険が及ぶ恐れがある。パワーネットの失陥が、全機能の停止につながるからだ。ADやADASを搭載する車両には、パワーネットの安全性を現行の車両と比べて大きく高めていく必要がある。

 これまで車両のパワーネットは、大きく3段階かけて進化してきた(図2)。

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図2 パワーネットの進化
現在は3段階目。今後の自動運転への対応にはパワーネットを大きく変えて第4段階目に進化させる必要がある。(出所:ボッシュ)

 第1段階は、電圧12Vの鉛電池とオルタネーターなどの電気部品を単純につないだ構成。第2段階はマイコンを設けて知能化し、例えば電池残量に応じてオルタネーターの発電量を制御するといった形に進化した。

 第3段階が現在で、車両の電動化が進んで高電圧のリチウムイオン電池や駆動モーターなどがパワーネットに加わり、複雑になった。

 第3段階までの設計方針では、電気部品への安定した電力供給の実現が焦点だった。電気部品の負荷のバランスなどを考慮して、どんな状況でも安定して部品を動作させることを目的にパワーネットを開発・設計してきた。

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