遊園地や水族館などのテーマパークがデジタル技術を積極的に活用している。AI(人工知能)やAR(拡張現実)といった先端技術とスマートフォンを組み合わせて娯楽性や利便性を高める。来場者データをマーケティングに生かす動きも始まった。3つのテーマパークの事例を紹介する。

 「あのエイの背中には星みたいな斑点があるな。名前は何だろう?」。男性客がこう言うと、同行する女性客はスマートフォンを取り出した。水槽のエイにかざすと名前が表示された。「ホシエイだって。星があるからだね。尻尾の針には毒があるよ」――。

 いばらき文化振興財団が運営するアクアワールド茨城県大洗水族館をデートで訪れたカップルの会話のイメージである。

 アクアワールドは水族館の娯楽性を高めるため、2019年4月にAI(人工知能)やAR(拡張現実)技術の国内ベンチャーであるLinneと提携し、同社の生物種判別アプリ「LINNÉ LENS」を導入。来場者が館内において無料で使えるようにした。冒頭の会話イメージはこのアプリを使ったときのものだ。

[画像のクリックで拡大表示]
アクアワールド茨城県大洗水族館での「LINNÉ LENS」の利用イメージ
スマホをかざすと魚の種類を判別
[画像のクリックで拡大表示]

館内全580種のデータを追加

 LINNÉ LENSは深層学習の技術により、魚介類、哺乳類、鳥類、爬虫類、昆虫など合わせて約1万種の生き物の判別が可能だ。アクアワールドは館内で展示する全580種の生き物のデータを作成しLINNÉ LENSに追加した。もともとの1万種と重複する種もあるが、判別精度の向上に役立つという。

 生き物の名前と画像のほか、来場者の視点の映像を用意した。例えば頭部の吸盤で大型の魚に付着するコバンザメは水槽の側面のガラスに吸い付く。来場者はコバンザメを背中側から見ることになるので、その角度から撮った。

 さらにアクアワールドは一部の魚介類について説明文を独自に作成し、LINNÉ LENSに登録した。サメの1種であるシロワニであれば「サメなのにワニとはいかに?」と題して「日本ではサメのことを鰐(ワニ)や鱶(フカ)と読んでいた時代や地域があり…」などと説明するという具合だ。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら