遊園地や水族館などのテーマパークがデジタル技術を積極的に活用している。AI(人工知能)やAR(拡張現実)といった先端技術とスマートフォンを組み合わせて娯楽性や利便性を高める。来場者データをマーケティングに生かす動きも始まった。3つのテーマパークの事例を紹介する。

東京ディズニーランドのパレードの様子
(出所:オリエンタルランド ©Disney)
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 東京ディズニーリゾートの人気アトラクションでは、搭乗口から少し離れた場所にも待ち行列が発生することがあるのをご存じだろうか。それはアトラクションごとの優先搭乗券「ファストパス」の発券所だ。特に朝の開園直後は、来場者が殺到し長い行列が生まれる。

 ファストパスを取っておけば指定された時間帯に優先搭乗できる。効率的に楽しみたい来場者には必須アイテムである。半面、「アトラクションごとのファストパス発券所まで事前に足を運んで行列に並ぶのは面倒だ」という声もあった。

 そこで東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは2019年夏、ファストパスの電子化に踏み切る。入園後は、スマートフォンアプリの「東京ディズニーリゾート・アプリ」でファストパスを取得できるようにする。

 「発券所まで行くことなくいつでもどこにいても発券できるようになるので、ストレスなく楽しんでもらえる」とオリエンタルランドの千葉香奈経営統括部テーマパーク戦略推進グループシニアリーディングスタッフは話す。

「 東京ディズニーリゾート・アプリ」の主な機能
アプリでパーク体験を高める(写真:陶山 勉、ファストパスの画像出所:オリエンタルランド ©Disney)
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パークの雰囲気をマップでも表現

 ファストパスのデジタル化にとどまらず、東京ディズニーリゾート・アプリはオリエンタルランドにとって来場者の満足度を高める重要な手段となりつつある。

 アプリの提供を始めたのは2018年7月。それまでオリエンタルランドがWebサイトや別のアプリで提供していた機能を1つにまとめた。

 アトラクションなど施設の情報や待ち時間などが見られるほか、ショーの抽選やレストラン予約、グッズ購入、チケット購入、ホテルチェックインも可能だ。

 アプリ開発の方針は「パーク体験ファースト」。来場者がパーク内でアプリにばかり気を取られるのは望ましい姿ではない。「パークそのものを楽しんでもらうためアプリはどうあるべきかを時間をかけて議論した」(千葉氏)。

 結果として、アプリの中核ユーザーインターフェースをマップ(園内地図)にした。来場者がいるパークの景色をそのまま表示し、タップ操作で情報を表示する仕組みだ。要は来場者向けのGIS(地理情報システム)である。

 ただし無味乾燥な線画の地図では、パークの雰囲気がぶち壊しになる。そこで、マップを拡大しても縮小しても精巧なイラストを表示するように作り込んだ。地図イラストの作成工程では、いったん3次元で各施設を描画した上で、各縮尺の2次元イラストを作ったという。

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