花王やササキは次世代のEDI(電子データ交換)と呼ばれる「中小企業共通EDI」を導入した。大企業中心だった従来の「つながらないEDI」をつなげることができ、中小企業にとって導入しやすい特徴がある。

 従来のEDIと何が違うのか。これまでのEDIは発注者である大企業が中心となって、受注者である下請けの中小企業に対して独自のEDIを導入させてきた。1990年代に大企業が中心となって導入して現在も使われているのが、ISDN(総合デジタル通信網)を利用するEDIだ。しかし受注側の中小企業は取引先の大企業ごとに専用端末が必要で、端末料金などの負担を強いられる例も多い。

従来型EDIの問題点と、中小企業に普及しなかった理由
(出所:ITコーディネータ協会の資料を基に日経 xTECH作成)
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 2000年代以降はインターネットとWebブラウザーを利用する「Web-EDI」の導入が進んだ。ところがWeb-EDIにも問題がある。受注者である一次サプライヤーの中堅企業や下請けの中小企業が、発注者である大企業のEDIにログインして受注に必要なデータを手入力しなければならないのだ。

 受注した中小企業は発注情報をCSVデータとしてダウンロードできるが、自社システムとはデータ項目が異なったり、顧客や商品を特定する社内コードと突合できなかったりするため、手作業で注文内容を特定する必要がある。

 こうした問題を改善するため、「流通BMS」や「鉄鋼EDI」、建設業のEDIである「CI-NET」など、業界ごとの標準的なEDIを整備する動きもあった。だが、複数の業界と取引がある中小企業にとっては、やはり業界ごとに異なるデータ形式のEDIに対応する必要がある。それぞれのEDIに対応するためパッケージソフトをカスタマイズするコストの負担を迫られる場合もあり、中小企業にとっては導入しにくい。

 つながらないEDIが乱立している現状は「多画面問題」と呼ばれる。受注者である中小企業は取引相手の大企業が増えるほど、多数のEDI端末やWeb-EDIの画面を扱う。データは手作業で自社システムに写さなければならない。しかも中小企業はいまだにFAXを使った受発注が多い。つながらない従来のEDIは「三層構造の問題を生んでしまった」と、ITコーディネータ協会(ITCA)の川内晟宏フェローは語る。

 従来のEDIはお金を払う側の大企業が発注者として主導権を握っており、「発注者にメリットが大きく、受注者にはあまりメリットがない」(ピー・シー・エーの水谷学取締役相談役)ものだった。ITCAの調査によると、EDIを活用している中小企業は全体の約2割にとどまる。花王のような大企業であっても様々な顧客からの受注はFAXが多いという現実がある。

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