日立製作所がLumadaで目指すのはITサービスの拡販だけではない。強みのITとOTを融合し、顧客にワンストップで届けるための商材と組織作りにある。出身部署から離れ、異分野に飛び込んで「融合」を体現する3人の猛者に迫る。

鉄道からスマートシティ、医療、MaaSへ

 日立におけるOT(装置や工程の制御技術)の中核拠点である大みか事業所。ここで10数年にわたって東日本旅客鉄道(JR東日本)の「ATOS(東京圏輸送管理システム)」の開発に携わってきたのが、ライフ事業統括本部デジタルフロント事業本部長の大隅英貴(47)だ。

大隅 英貴(おおすみ・ひでき)氏
ライフ事業統括本部 デジタルフロント事業本部長
1996年、日立製作所に入社し、大みか事業所に配属。米国へのMBA(経営学修士号)留学を挟み、JR東日本のATOS(東京圏輸送管理システム)の構築に10数年携わる。その後、米国の日立コンサルティングなどを経て、直近は古巣の大みか事業所で産業機械向けにAIで修理を効率化するプロジェクトを担当した。2019年4月から現職。
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 大隅の仕事人生の大半はATOSと共にある。ATOSは、ピーク時に2~3分間隔で走行する超高密度な東京圏の列車運行を支える社会インフラだ。大隅は信号機などの制御ロジックや、運転手にダイヤ変更を自動で伝えるシステムを開発してきた。

 ATOSに携わっていた頃は、JR東日本の担当者と膝詰めで話し合い、司令員の勘と経験をシステムに落とし込んできた。大隅は「OTの習得には膨大な時間がかかるが、一方で他社は容易に参入できない。そこが日立の強みだ」と肌身で感じてきた。

 そんなOT一筋の大隅にとっての転機がLumadaだ。2016年ごろから約2年間は傘下の米国日立コンサルティングに出向し、ビルの省エネなどを支援する新サービスの立ち上げに奔走。電気代の削減量に応じて日立が報酬を得る「成果報酬モデル」を採用し、後にLumadaのユースケース(実例)の1つにもなった。

 2018年に大みかに戻ってからは、AI(人工知能)を活用して産業機械の修理を自動提案するシステムを製品化した。

 経験を生かし、今はスマートシティや医療、移動手段をサービスとして提供する「MaaS」などの分野でLumada事業を拡大する役割を担う。最前線で顧客と対話しながらニーズを引き出し、各ビジネスユニットにつなぐ。ITとOTの経験を生かすLumadaの「伝道師」だ。

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