ビキのベキ

Biki これも変なところから話を始めるのだけれど…。

井野辺 はいはい、どうぞ。

Biki 大学生の時に「就職したらどうしよう」ってすごく心配していたことがあるんだ。

井野辺 Bikiさんがですか?

Biki うん。実は私はすごく寝るタイプ。夜だけでなく、昼もちょっと時間があるとすぐちょこちょこ寝てしまう。大学の授業は100分ぐらいあって、その100分間をずーっと起きていたことが大学生活を通じて一度も無かったんだ。どこかで寝落ちしていた。

井野辺 一度も無かったというのもスゴイですね。

Biki だから、会社に入って朝の出社から夜の退社までの時間を起き続けるのは自分にとって不可能に思えて、「社会人になれるのかな」と心配した。

井野辺 あらまー。それで就職したらどうでしたか?

Biki 何とか起き続ける努力をしていたのだけど、新入社員時代にある日、私の上司とエライ部長との会議に同席したことがあって…。

井野辺 Bikiさんを入れてたった3人ということですね。

Biki そう。その少人数の会議でエライ人の目の前で寝ちゃったんだな。で、上司にすごく怒られた。

井野辺 そりゃ怒られますね。

Biki それで、「どうすれば寝なくて済むか」を自分なりに一生懸命考えて、結論が出た。

井野辺 そんな秘策があったのですか?

Biki 新入社員だろうが何だろうが、会議ではしゃべる。そうすれば寝ない。

井野辺 それがその後のおしゃべりBikiさん形成物語か。

Biki まあね、おしゃべりは生まれつきだけど。だからこそ余計に黙っていると寝ちゃうということに気が付いたんだ。このやり方は大成功で、会議で積極的に発言するようにしたら寝なくなった。

井野辺 おめでとうございます(^o^;)。

Biki ところが、ある日部署の上司に呼び出された。なんだろうと思って行ったら、別室に入れられて説教された。「もっと先輩を立てろ」と。

井野辺 Bikiさんには無理な感じも…。

Biki 先輩を立てるとか立てないとか、勝つとか負けるとかで発言しているつもりは全くないのに、会社の昔からの風習では「先輩の言うことは黙って聞くべきだ」ということらしい。

井野辺 出た出た、「べき」。

Biki これも完全に「議論を止めてしまう『べき』」だよね。

井野辺 で、発言をするようにしていたのをやめちゃったのですか?

Biki いや「発言は誰でもすべき」という確信があったからね。

井野辺 その「べき」の方が強そうですね。

[♪エンディングの音楽♪]

瀬川秀樹のミニ解説

・「自分事」の夢と今を持たずに何事も「他人事」にすると「べき発言」につながる
・古い単一の風習にとらわれている「べき論」にチームとして従ってしまうと新たな潮流に取り残される
・自分の心の中の「べき」は言わずに確信として行動につなげよう

*このコラムはフィクションであり、実在する会社・社員とは関係ありません