自らのウソが緊急状態を継続させる

Biki 「緊急性」重視の文化に侵されすぎている部門でよくあるのが「ウソをついてしまってずっと時間がない状況に陥る」ことです。

井野辺 ウソ? ウソなんて仕事でついたら問題じゃ…。

Biki 明らかなウソではなくても「実はウソかもしれないけど」ということを言ってしまう。

井野辺 どんな?

Biki よくあるのが、ソフトウエアの製品化開発。やってみると思わぬ不具合や追加仕様による新たなバグが多発して、進捗会議でリーダーから「その問題はいつまでに解消できそうか」と問い詰められたときに「2週間あれば大丈夫です」とか言ってしまうようなケース。心の中では「本当は1カ月欲しいけど」と思っていても。

井野辺 あー、ありがちですね。

Biki そして、時間がないので、取りあえずの対策を打とうとあがく。でも、根本的な対策を打たないと、新たな問題が発生してしまう。そしてまた、進捗会議で「2週間ください」と言ってしまう。

井野辺 そうすると、ずっと問題は解決されず・・・

Biki で、ずっと時間に追われてしまう。それだったら最初から「根本的に対策を打つので1カ月ください」と言っておいた方が結果的には早くでき、その分、時間の余裕もできる。

井野辺 そうできないのは「緊急性」の文化に侵されているのが原因なのですね。

Biki いつも「忙しい、忙しい」と言っていると、そういう文化が形成されてしまう。なぜ忙しいのか、何をやっているから忙しいのかも考えなくなる。「不思議の国のアリス」の、いつも時計をぶら下げているウサギみたいな人ばかりになる。対照的なのが私の元上司で、本当はむちゃくちゃ忙しいはずなのに、「お忙しいですよね」と聞くと、「いやー、ヒマだよ~」といつも言って、ゆっくり話を聞いてくれる人がいた。

井野辺 なんかカッコいいですね。

Biki カッコいいよね。リーダーがバタバタしていると、組織の空気もバタバタして、緊急でないことを言えなくなって、重要なことが後回しになってしまう。

井野辺 でもいくら「重要」だからって、数年先になってやっと何かが始まるような提案はなかなか受け入れられませんよね。

Biki それは受け入れられないだけでなくて、やっている本人も耐えられない。重要で長い期間がかかるコトだからこそ、拙速な感じで常に「始める・やる」ことが大事。

井野辺 長期的な視野を持ちながらも、落ち着きない感じで動くっていう二重人格的な…。

Biki そう! 二重人格的に両方やるのが大事。