すべてのモノがネットワークにつながるIoT時代、IT技術者ならネットワークに関する基本的な知識は不可欠だ。そこで本特集では日経NETWORKの過去記事を再編集。全12回で基本的なネットワーク技術を分かりやすく解説する。

 企業ネットワークを構築するのに欠かせない機器が、ルーターとスイッチである。

 ルーターは、例えば営業部、経理部といった部署ごとにネットワークを区切るとき、それらを中継する役割を持つ。この役割を担うためにルーターは、ルーティングとフォワーディングの二つの機能を備えている。

 一方のスイッチは、複数のホストをつなぐために使う。例えば部署全体のコンピューターをつなぎ、コンピューター同士が通信できるようにする。

 ではこの役割を担うために、スイッチはどんな機能を備えているのだろうか。また、スイッチの中には「VLAN対応」をうたう製品をよく見かける。この機能は、どのようなものなのだろうか。今回は、スイッチの基本機能とVLAN機能を理解しよう。

目的のホストだけにデータを転送する

 まずは下の図を見てほしい。

IPネットワークを支えるリピータハブとスイッチの違い
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 スイッチの機能を理解するために、同じような役割を持つリピータハブの機能と比較している。リピータハブとスイッチは、一つのネットワークを構成する複数のホストをつなぐときに使う。

 一つのネットワークとは、ネットワークアドレスが一致するホストで構成される、ルーターなどで区切られた範囲(ネットワークセグメント)のこと。ひと言で言えば、前回解説したブロードキャストドメインである。ネットワークセグメントという意味で、単にLANと呼ぶこともある。

 図の例では、一つのネットワークがコンピューターAからDの4台で構成される。コンピューターAからコンピューターCにデータを送るとき、コンピューターAはコンピューターCを宛先にしたMACフレームを送り出す。

 リピータハブでは、ポート1にコンピューターAからのMACフレームが届くと、それをコピーしたものを残りすべてのポート(ポート2~4)に転送する(図の左)。このとき、リピータハブはMACフレームの宛先や送信元などは気にせず、単に電気信号として処理する。

 一方のスイッチは、各ポートにつながったホストのMACアドレスを記録した対応表(MACアドレステーブル)を使って、転送するポートを判断する。図の右では、ポート1に届いたMACフレームは、宛先のMACアドレスからテーブルを参照して、コンピューターCがつながるポート3に転送する。

 なお、宛先のMACフレームがテーブルに登録されていないときは、リピータハブと同様、すべてのポートへ転送する。また使い始めたばかりのスイッチは、テーブルの中身が空っぽである。スイッチは、各ポートに届いたMACフレームの送信元MACアドレスをテーブルに登録して、テーブルを作っていく。