自分を鼓舞する刺激を求める

 G氏には、大手コンピューターメーカーのSEとは別の顔がある。ソフトウエア開発環境のユーザーグループと、オープンソースのアプリケーションフレームワークの普及団体という2つのコミュニティーにおける中心的な運営者の1人でもあるのだ。その活動は勤務先が公認しているとはいえ、あくまで自主的なもの。しかも2つのコミュニティーでの活動に毎週10時間以上は費やすというから、決して楽ではない。

 G氏が社外のコミュニティー活動に勤しむのは、「社内の仕事では得られない刺激を得るため」である。その刺激とは、特定の技術分野での国内の第一人者と話す機会があり、さらに最先端の技術やプロダクトに触れることだ。「勤務先では自分の興味のある仕事ばかりを任せてもらえるわけではないので、ある種の閉塞感がある。興味のあるテーマを扱うコミュニティーに参加することは、世界が広がる気持ちになり本業のやる気にもつながる」(G氏)。

 中堅システムインテグレーターのH氏も外部のコミュニティー参加の有効性を認めた上で、1つの条件を指摘する。それは、積極的に運営に参加して中核メンバーを目指すことだ。「コミュニティーにただ参加するだけでは、いわば周辺部をうろつくようなもの。雑用を買って出てもコミュニティーの中核的な立場を目指すことで、その場で育まれている価値観を吸収しITエンジニアとして成長できる」(H氏)。

同世代の3人にライバル宣言

 やる気を生む刺激を得るのは、外部のコミュニティーだけではない。「あなたは私のライバルですから」──。ユーザー企業のシステム子会社で執行役員を務めるI氏には、こうやってライバル宣言したITエンジニアが3人いる。3人とも同世代で、親会社のシステム開発プロジェクトで一緒に仕事をしたときにI氏が「スゴイ」と感じたITエンジニアである。

 ライバルと言っても、何かで張り合うわけではない。むしろ逆で「懇意になってもらって折りに付けて飲みに行く」(I氏)。ただし懇意になるほど、I氏には相手が気になる存在になる。「一流の人たちだけに、今どんな仕事をしているかという近況報告を受けるだけで、自分のなかで負けん気が芽生えやる気が生まれる」(I氏)。

出典:日経ITプロフェッショナル、2006年1月号 特集「ITエンジニアの『やる気』マネジメント術」を改題して本文を再編集
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