ポジティブな思考習慣を身に付ける

 「プロジェクトの対象範囲が広すぎませんか。このままだと収拾がつきませんよ」──。大手コンピューターメーカーのE氏はかつて、先輩のITコンサルタントを補佐するサブリーダーとして入ったプロジェクトで危うさを感じ、こう問いただしたことがある。しかし先輩は「大丈夫」と繰り返すばかりで、プロジェクトは一向に進展しなかった。

 しばらくすると、あろうことかその先輩が別のプロジェクトに移り、必然的にE氏が責任者になった。そのとき既にプロジェクトは破綻しかけていた。それでもE氏は「オレのせいじゃない。こんなのやってられるか」とは思わなかった。なぜか。「他人のせいにしない、という思考法を習慣化している」(E氏)からである。

 「人のせいにしても何も解決しない上に被害者意識が生まれてやる気が余計に下がる。そのことを経験的に理解して以来、自分の責任として受け止めることを習慣的に実践してきた」(同)。

 そうは言っても、つい先輩の顔が浮かび恨み言の一つもいいたくなるもの。そこでE氏は、プロジェクトを成功させた上でその先輩と話すシーンを繰り返し思い描いた。「勘弁してくださいよ、先輩。冷や汗かきましたよ」と笑顔で話しかけるE氏。「だから大丈夫だって言っただろう」と悪気のない先輩。そんな屈託のない明るいイメージを持つことによって、先輩を加害者にすることなく、自分の理想のプロフェッショナル像を追い求めることに集中した。結果、最後までやる気を落とすことなくプロジェクトを成功させたという。

(出所:123RF)

私生活でも実践し習慣化する

 このようにポジティブに物事を捉えることは、やる気の持続において不可欠といえる。E氏も指摘するように「あいつのせいだ」「自分は悪くない」といったネガティブな思考にはまりこむとそれだけでやる気が削がれていく。

 そこで、ポジティブな思考を習慣化することが重要である。もちろん思考の仕方は、一朝一夕に切り替えられるものではない。そのため「仕事に限らず私生活まで含めて日ごろから実践すべき」(E氏)という。第一ステップとして、まずは自分が今どういう思考モードに入っているかを意識することから始めると良いだろう。

自己暗示をかける

 ポジティブな思考習慣としては自己暗示も有効だ。経験のない人からするとキワモノの手段に思えるかもしれないが、実践しているITエンジニアは意外に多い。

 その1人、大手コンピューターメーカーのF氏は常に「自分は強運である」と思い込むことでポジティブな思考を貫いている。例えばF氏がプロジェクトマネージャーとして最初に任された案件は、売上高10億円規模だった。初体験であるにもかかわらず、いきなり「絶対に失敗は許されない」(F氏)という窮地に立たされたわけだ。

 普通の感覚なら「なぜこんな重要案件を経験の浅い自分に任せるのか」と負担に感じるだろう。しかしF氏はこれを「チャンス」だと捉えた。「それだけ上司が自分を買ってくれていることの表れで、やり遂げられれば一気に成長できる」と考えたのだ。デビュー戦だけに試行錯誤が続いたが、F氏はやる気を一貫して高く保ち、成功にこぎ着けたという。