やる気の無い部下や後輩、やる気の出ない自分。それを会社のせいにしたり嘆いたりしても始まらない。部下や後輩のやる気が高まるように働きかけ、自分のやる気は自分でマネジメントする。その方法を、日経ITプロフェッショナルの過去記事を再編集して紹介する。

 いつもどんな仕事でも精一杯頑張る。与えられた仕事以上のことをする。失敗しても立ち直りが早い──。あなたの周りにも、そんな人がきっといるだろう。そう見えるのは、その人がやる気を高いレベルで安定させている証拠である。

 では、どうすればやる気を向上・持続できるのか。その方法を探るために周囲から「やる気が高い」と評価されているITエンジニア20人を取材したところ、やはり各自の秘訣があった。やる気の高い人は自分で意識して工夫をしていた。

 今回はその中から「ビジョン・目標を具体化する」という秘訣を紹介する。現場のITエンジニアが実際にどうやって自分自身のやる気を向上・持続させているかについて見ていこう。

ビジョン・目標を具体化する

 「(10年後に)38歳になったときの年収は2000万円です。もうこの会社にはいません。自分で会社を興していて、他の会社の顧問もしています。専門知識を生かして書いた本も出ているはずです」──。

 こう話すのは、ITコンサルタントのAさんである。A氏は中堅システムインテグレーターに所属しており、若手の中でもトップクラスの評価を得ている1人。そのやる気を支える工夫の1つが、個人的な目標管理だ。

 将来的なキャリアを設計しているITエンジニアは少なくないとしても、A氏ほど緻密に行っているケースは希だろう。上記の目標は荒唐無稽に思えるかもしれないが、実はビジョンから行動計画に落とし込むというA氏独自の“目標管理フレームワーク”で練り上げたものだ。

ビジョンから行動計画に

 ExcelシートにまとめられたA氏の目標管理の一部を紹介しよう。まずビジョンについては、「どういう風な人間でいたいか(人柄)」や「どういった能力・資格・知識を持っていたいか」といった観点を設定し、それぞれについてイメージを挙げている。例えば前者の人柄については「会社の後輩/子供からも信頼され楽しく時間を過ごす」や「自分に厳しい」、後者の能力については「自分の考えを整理し正確に人に伝える」といった具合だ。

 これらのビジョンは長期的な方向性であり、それをマイルストーンに落とし込んで行動計画を作る。A氏が大幅改訂した行動計画の一部を抜粋して以下の図に示した。

A氏が作成したExcelシートの個人目標
編集部で整形した
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 10年後、5年後、2年後における「年収」や「業務」「自己啓発」について、具体的に記述していることが分かるだろう。例えば5年後の業務については「顧客から個人名指定でプロジェクトマネジメントの依頼が来る」とある。「プロジェクトマネージャーとして一流になっている」のように抽象的な表現で終わらせず、どうなれば一流なのかを考えて具体的な条件まで書いている。

 この中長期目標は、直近1年に関して月ごとの行動計画に落とし込み、基本的に毎日、計画に沿って行動できているかどうかを検証するという。

先を見ることでやる気が安定

 これだけ手の込んだ目標設定をするのはなぜか。それは「自分の理想像に向かって進んでいる実感が、日々のやる気につながるから」(A氏)という。そしてもう1つ「現状に一喜一憂せず、やる気を安定させるため」(同)でもある。