鉄則四 意思決定に参加させ当事者意識を持たせる

 人に言われたことよりも、自分で決めたことのほうがやる気が出る。これは、誰しも経験的に感じたことがあるのではないだろうか。そうなる最大の要因は、言われたことをやるときには「やらされ感」を覚えやすいのに対して、自分で決めると「当事者意識」が生まれやすいことにある。

 そこで重要なのが、意思決定のプロセスに部下を参加させることだ。一緒に決めれば、部下の「当事者意識」が高まる。もちろん、部下とじっくり話し合って決めるには手間暇かかるので、何でもそうするわけにはいかないだろう。しかしできる限り、決める前に部下の意見を聞きたい。結果として部下の意見を採用しないことがあっても、部下は「発言の機会があった」という気持ちがあるため、「やらされ感」を防ぐことができる。

 部下が参加しない会議で決まったことなど、部下には最終決定や結論を伝えるだけになることも多い。そんなときでも、決定に至った経緯や理由をきちんと説明すべきだ。部下は、決定の過程が分からないことによって「やらされ感」を持つケースがあることを、認識する必要がある。

 またプロジェクトへの「当事者意識」を高めるという点では、要所要所で「プロジェクトが今全体としてどうなっているか」「顧客とどんな話をしているか」といった大局的な視点に立った情報をメンバーに説明することも重要である。プロジェクトの規模が大きくなるほど、メンバーは全体感を持ちにくい。自分の携わっている仕事がプロジェクト全体にどう影響するかが分からなければ、「当事者意識」は希薄になりがちだ。

鉄則五 褒め方を工夫し存在価値を実感させる

 「できて当たり前の仕事ばかりで褒めようがない」「褒めたら調子に乗るから、叱ってはっぱをかける」と言う上司がいる。危機感を持たせ、刺激するという方法も確かにあるだろうが、「ダメだ」「できて当たり前」などと否定的なことばかり言われると、部下はやる気を保つのが難しい。人は誰だって、「自分がやっていることは正しい」と自信を持ちたいし、自信を持つには他人から評価してもらいたいものなのだ。

 ただし、やみくもにただ褒めればいいというものではない。見え透いた空虚な褒め言葉は、逆効果になりかねない。褒め方にも工夫がある。ここでは、3つのポイントを紹介しよう。

部下を褒めるときのポイント
「さすが、○○さん」とただやみくもに部下を褒めるだけでは空々しく効果が薄い。部下の心に響くように褒め方を工夫したい
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 1つ目は具体的に褒めることだ。「さすが、〇〇さん」ではなく、「〇〇さんのプレゼンテーションは冒頭1分で概略がつかめるアプローチがいいよね」というほうが、何が褒められているのかが分かり心に響くだろう。

 さらに、部下が自分自身の存在価値を確認できるように褒めたい。例えば「あなたの経験と実力を買ってこれを担当してほしいと思う」といった具合に、「あなただから」というメッセージを込める。

 顧客や協力会社など別の人からの褒め言葉を本人に伝えることも有効だ。これが2つ目のポイントである。「先日、A社にお礼訪問したら、君のことを『すごく頑張ってくれた』と褒めてくださって、私もうれしかった」という具合だ。褒め言葉をメールで受け取った場合は、本人に転送することを忘れないでほしい。

 3つ目は、大きな目標をなし遂げたとき、皆の前で褒めること。例えば「Bさんの活躍で、M社の案件を正式受注できました」などと、定例会議の場で成果を披露する。こんなときは、ぜひ本人に一言述べるチャンスを与えたい。照れるかもしれないが、挨拶することでそれがさらにやる気を刺激するはずだ。