米アップル(Apple)の開発者会議「WWDC 2019」は、新Mac Proの発表があったものの、基本的にソフトウエア関連の話題が中心だ。それでも、同社の主力製品であるiPhoneの今後を予測する材料がいくつかあった。筆者がこれまでつかんだ情報と合わせ、次期iPhoneがどうなるのか分析したい。

AppleがAR推しに進む理由

 NFC方面やApple Pay方面に関しては今年はやや足踏みが感じられる状況があるものの、WWDC 2019全体で見れば各OS以外でアップルが力を入れていると筆者が感じた分野がある。それはAR(拡張現実)だ。

 今回、同社のAR向けフレームワークの新版「ARKit 3」が発表された。iPhoneやiPadのARKitの仕組みを使って、同タイミングで発表されたばかりの新型Mac Proを実際に部屋や道ばた(!)に置いてみたりするデモが紹介された。

新型Mac Proを実際にARKitを使って部屋に配置して観察することができる
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 さらに同社のモバイル決済戦略を進めるなかで、ARを使って屋内でのレイアウトで実際に家具を配置できる仕組みを家具メーカーとの提携で発表するなど、様々な場面でARをプッシュする方向性を示している。

 これにはいくつかの理由がある。1つは今後成長が見込まれるAR市場においてアップルのプレゼンスを増やす狙いがあるとみられる。すでに各所の報道で出ているが、同社は「ARグラス」的なデバイスを開発しており、開発が間に合えば2021年以降に市場投入してくる可能性がある。そのための布石として、まずはARKitの強化で開発者やユーザー企業らに採用を促し、今後2〜3年かけてコンテンツを量産する体制を築く。

 もう1つは新iPhoneへの布石という見方だ。例年同様、アップルは2019年秋にiPhone新モデルを発表するが、今のところ筆者が聞いている範囲ではモデル構成はほぼ現状と同じ3モデルで、「ハイエンド大型」「ハイエンド中型」「普及価格帯の中型」となる。現状モデルとの大きな違いはカメラで、ハイエンド大型は背面カメラが「3眼」、普及価格帯は「2眼(3眼になる可能性もある)」となり、カメラ機能が大幅に強化される。

 興味深いのは3眼だ。華為技術(ファーウェイ)など他社の製品では、倍率が異なるレンズを組み合わせて既存のカメラの代替を進めるのが一般的だ。これに対し、ある情報源によれば新iPhoneの3眼で追加されるセンサーは「深度センサー」であり、風景や被写体の立体感を把握することに重点を置いているという。

 筆者の予測としては、これを「ARへの応用」にも活用するのではないかと考えている。ARでは立体感把握が重要であり、3眼構成はこれを助ける。つまり2019年モデルは2〜3年先のアップルの戦略をあらかじめ盛り込んだものとなる可能性がある。

 同様に、普及価格帯モデルにも2眼を採用することで、現状のiPhone XRで簡易実装にとどまっているポートレート機能が強化される。これは当然ARの強化にも反映されるわけで、カメラ機能の拡充は最終的にAR市場への本格参入の布石ではないかという予想だ。

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