2019年6月3日に開かれたWWDC基調講演の数日前から「iTunesが無くなる」というニュースが世界中を駆け巡った。だから、壇上で米アップル(Apple)のクレイグ・フェデリギ氏がmacOS Catalina(バージョン10.15、以下Catalina)の新機能を紹介するくだりで、肥大化したiTunesを「Apple Music」「Apple Podcasts」「Apple TV」に分割するといった趣旨のプレゼンを繰り出したときは驚かなかった。だが、イベントの動画を見終わった後、指先のささくれのような何かが心に引っかかる。

 もう一度、基調講演の動画を見返して、ささくれの原因が分かった。Apple Musicアプリの説明のところで、サブスクリプション型サービスとしてのApple Musicのことしかしゃべっていないのだ。おいおい、音楽ダウンロードサービスとしてのiTunes Storeはどうした?

 動画を何度も再生し、背後のプレゼンスクリーンに大きく投影されたApple Musicアプリのユーザーインターフェースやメニューを穴が開くほど見つめるのだが、iTunes Storeの存在を示唆するような項目は見つからない。

スクリーンに映っている「Music」アプリのメニューやサイドバーに「iTunes Store」の文字を見つけることができなかった
(出所:アップル)
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ダウンロードサービスは無くなってしまうのか?

 ここから筆者の妄想は突っ走り始める。かねての噂通りiTunesのダウンロードサービスをCatalinaの正式リリースと同時に廃止してしまい、サブスクリプション型のApple Music一本でいくことが決まったのだろうか。そして、このプレゼンは、そのことを暗にメッセージとして伝えているのではないだろうか、と──。

 それだけではない。物理メディア、つまりCDのリッピングや焼き込みの機能に関連するメニューも見当たらない。「CDなどというレガシーメディアは不要!」とばかりにバッサリと切り捨ててしまったのだろうか。レガシー資産の情け容赦ない切り捨てはアップルの得意技だ。

 過去の本コラム「iTunesが終了する日」でも触れたように、音楽制作業をなりわいにして、決して多くはないがiTunesのダウンロードからそれ相応の売り上げを得ている身としては、CatalinaにおけるiTunes Storeの行方が気になってしまい、もんもんとしてしまう。

参考記事:iTunesが終了する日

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