日本のブロードバンドの発展を支えたADSL(非対称デジタル加入者線)が、終わりの時を迎えようとしている。

 ソフトバンクは2019年5月、「Yahoo! BB ADSL」などのADSLサービスを2024年3月末で終了すると発表した。NTT東日本とNTT西日本も「フレッツ光」の提供エリアにおいては、「フレッツ・ADSL」を2023年1月に終了する予定だ。

 一部の地域限定で提供されているADSLサービスについては、継続中のものもあれば、既に終了したものもある。そんな中、大手各社がサービス終了を発表したことで、ADSLが幕引きに向かい始めたのは間違いない。

ADSLサービスの終了時期を発表したソフトバンクのプレスリリース
(出所:ソフトバンク)
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「パラソル部隊」も登場、ブロードバンド普及の推進力に

 ADSLは、アナログ固定電話サービス用として全国津々浦々に張り巡らされたメタル電話線を使う高速通信技術だ。今でこそ契約数が最も多い固定ブロードバンドの主役といえばFTTH(ファイバー・ツー・ザ・ホーム)サービスだが、その前はADSLサービスだった。

 2000年にNTT東日本とNTT西日本が「フレッツ・ADSL」を開始。翌2001年にNTT東西の設備開放が実現したことで、ソフトバンクが「Yahoo! BB」の提供を開始した。同社は「パラソル部隊」を組織して、街行く人にADSLモデムを無償配布する販促を大々的に展開したのは有名だ。

街中でADSLモデムを配布して「Yahoo! BB」への加入を勧誘したソフトバンクの「パラソル部隊」
(出所:ヤフー)
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 ADSL全盛期は、イー・アクセス(後にソフトバンクに吸収)やアッカ・ネットワークス(後にイー・アクセスに吸収)といった主にADSL回線を扱う通信事業者も存在した。これらの事業者は、より高速なメニューを追加しながらユーザーを増やしていった。

 だが、さらに高速なFTTHが次第に勢いを伸ばし、ADSLの勢いに陰りが見えてくる。ADSLの契約数は2006年ごろから減少に転じ、2008年にはFTTHとADSLの契約数が逆転した。それから10年後の2018年には、FTTHとADSLの契約数は約17倍の大差が付いた。

DSL契約数とFTTH契約数の推移。約10年前にFTTHがADSLを上回り、現在は圧倒的な差が付いている
(出所:総務省)
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 ソフトバンクのADSLサービス契約数は、ピークだった2006年12月に500万超だったが、2019年3月末は約83.3万。NTTグループに近年の契約数の推移を聞くと、NTT東日本は2017年9月末が約37万で、2019年3月末が約25万。NTT西日本は2017年9月末が約47万で、2019年3月末が約34万だった。

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