RPAを始める企業にとって難関が経営層の説得とツール選びだ。RPA先行企業がこの問題にどう挑んだのか。オリックス・ビジネスセンター沖縄、メタルワン、ニチレイロジグループ本社、第一生命保険などの取り組みを紹介しよう。

 RPAを始める企業にとって難関が経営層の説得だ。MM総研でRPAの導入実態の調査に携わった高橋樹生研究員は「費用対効果を明確に経営層に示すことができず、導入に踏み切れない企業は多い」と明かす。

 特にボトムアップでRPAの導入を検討する場合、費用対効果の説明が難しい。現場では作業工数を見積もれないためだ。そこでIT部門の出番となる。高橋研究員は「大量のデータをダウンロードして別のシステムに入力するといったPC作業はRPA導入効果が大きい。費用対効果が高い作業を見つけて適用するといった工夫が必要だ」と話す。

 先進企業はRPAの導入効果について、自動化できたPC作業の時間だけでなく、作業の品質向上や社員のストレス軽減なども加える工夫を凝らしている。オリックスグループのリース事業やレンタカー事業などの営業事務を担うオリックス・ビジネスセンター沖縄(OBCO)は2016年と早くからRPAの導入を始め、約100台のソフトロボを稼働させている。

 ある業務でRPAを適用したところ人手に比べて処理量を8倍以上に高めるなどの成果を上げる一方で、「業務担当者が早出をしてやらなければならなかったPC作業を自動化して業務担当者の負担をなくす」といった働き方改革も進める。OBCOの松田貴久美業務編成部マネージャーは「費用対効果を見るだけは、RPAの社内普及に限界が出てくる。PC作業の質を高めたり、業務担当者の働き方を良くしたりといったプラスアルファの目的も欠かせない」と指摘する。

図 RPAの費用対効果についての考え方
コスト削減にこだわりすぎない
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ツールは使い手に応じて検討

 RPAツールは誰が使うかによって選び方が変わる。現場の業務担当者が使う場合は、開発経験がなくても操作しやすいツールが向く。NTTデータの「WinActor」や、RPAテクノロジーズの「BizRobo!」などだ。メタルワンは「業務担当者が使いやすいかどうか」といった観点からWinActorを採用した。ただし「使いやすいとはいえ、すぐに開発できるわけではない。研修やサポートは必要だ」(業務改革・DI室の小林玲子氏)。

 複数のRPAツールを併用するケースもある。ニチレイロジグループ本社は業務担当者が自らPC作業を自動化するときはWinActorを使う。同社はグループ各社の業務を標準化して一括で自動処理する取り組みも並行させている。ここではKPMGコンサルティングが開発を担当することもあり、操作対象のアプリケーションが幅広い米ユーアイパスの「UiPath」を採用した。

 開発の仕方を踏まえてツールを使い分けているのが2017年夏からRPAを導入する第一生命保険だ。約80人の開発者は米オートメーション・エニウェアの「Automation Anywhere」と英ブループリズムの「Blue Prism」を使う。

 Automation AnywhereはPC作業の手順を設定する分かりやすさがあるので、まずこれから始める。その後、「フロー図で業務を分析できるBlue Prismを使ってもらい、業務全体を俯瞰(ふかん)しながらRPAを導入できるようにしている」(同社の前泊圭事務企画部部長)。

 RPA導入に際する落とし穴は他にもある。本社から離れた場所に複数の拠点を持つ企業は多いが、IT部門が本社にある場合、離れた拠点にRPAを広げるには工夫が必要だ。

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