塩野義製薬は、デジタル技術やデータの活用を推進するために「デジタルインテリジェンス部」を新設した。外部との連携にも乗り出し、2019年3月には、米アキリ・インタラクティブ・ラブズ(Akili Interactive Labs、以下Akili)のデジタルセラピューティクス(デジタル治療、DTx)を導入。2019年5月には、AIを活用してインフルエンザ診断を支援する医療機器を開発するアイリスに投資した。こうしたデジタルインテリジェンス部の取り組みについて、同部部長の小林博幸氏、戦略企画グループリーダーの浅川誠氏、戦略企画グループ専任課長の里見佳典氏に聞いた。

デジタルインテリジェンス部の具体的な取り組みを教えてください。

浅川氏 主に2つあります。1つは、デジタル技術を使った新規ビジネスの創出です。もう1つは、社内のデータを集めて解析し、ビジネスの変革に活用することです。このうち新規ビジネスは、患者を中心とした関係者間のコミュニケーションの向上を狙います。データ活用については、どのようなデータをどう解析すればよいのかを検討し、データを整理しているところです。

デジタルインテリジェンス部の戦略企画グループリーダーの浅川誠氏
(写真:行友 重治)

なぜ新規事業に取り組むのですか。

浅川氏 事業環境が厳しく、今後、医療用医薬品事業の市場はこれまでのように存在し続けるか分かりません。医療財政の限界から、薬価が年々下がるのは明らかです。製薬企業は、医薬品を提供するだけではなく、「健康を提供する」ことが、今後大きなミッションになると思っています。高い収益率の市場は未来永劫(えいごう)続きません。塩野義製薬は創業から140年を超えました。次の100年を続けるために、何らかの新たな挑戦をしないといけないと思っています。

新規事業のテーマが、「医師と患者のコミュニケーション向上」ということですか。

浅川氏 そうです。医薬品は、決められた通りに服用してもらえなければ、効果を発揮しません。医療機関で医薬品が処方された後、患者が実は飲んでいないかもしれないし、実際より多く飲みすぎているかもしれない。実はそこの部分が、医療機関と製薬企業は把握が難しいのです。医薬品を販売するだけではなく、患者のクオリティー・オブ・ライフ(QOL、生活の質)を向上させるきっかけとして、患者が医薬品を服薬するまで「見守る」ことが必要と考えました。その手段の1つが、医師と患者のコミュニケーションを促すことです

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