デジタルヘルスで「治療」以外も目指す、アステラス製薬Rx+事業創成部

2019/06/28 05:00
高橋 厚妃=日経 xTECH/日経デジタルヘルス

 アステラス製薬は2018年4月、最先端技術を利用して新しいヘルスケアの事業を創成する「Rx+(アールエックスプラス)事業創成部」を発足させた。その1つの取り組みとして2018年10月に、バンダイナムコエンターテインメントと連携し、継続的に運動する必要がある人を支援するアプリの共同開発契約を締結した。Rx+事業創成部では、どのように事業を進めたり提携先を決めたりするのか、アステラス製薬Rx+事業創成部長の渡辺勇太氏に聞いた。(聞き手は高橋厚妃=日経 xTECH/日経デジタルヘルス)

アステラス製薬Rx+事業創成部長の渡辺勇太氏
(写真:加藤康)

Rx+とは何を意味していますか。

 医療用医薬品はRxと略されることがあります。Rx事業を越えた新規事業を創成するということでRx+事業創成部としています。

 Rx+事業創成部は、これまでアステラス製薬に無かったような2つの軸で事業を展開します。まず1つの新しい軸が、事業対象の広さです。これまでは、医薬品の提供ということで、治療の場面に深く関わってきました。Rx+事業創成部はそれだけではなく、診断や予防、介護などの幅広い医療場面を事業の対象にしています。

 もう1つの軸は新たな技術です。これまでのバイオロジー(生物学)やバイオテクノロジー(生物工学)以外にも、新しくデジタル技術や医療機器などを含めて事業を展開する方向性を打ち出しています。

どのような技術に注目していますか。

 優れた技術なら良いというわけではありません。『良い技術をどう使うのか』を出発点にプログラムを立ち上げるのではなく、医療現場の課題解決の視点を大切にしています。患者さんと医療現場の課題を最重要視しており、課題が見つかったら、それを解決するための技術を探索したり開発したりする方法を採っています。課題立脚型で、スタートアップのような事業の進め方だと思います。

 デジタルヘルスの技術に大きな関心を持っていますが、既存の医薬品の価値を高めるような技術は対象にしていません。例えば、私たちが既に販売している医薬品を適切なタイミングや方法で服用してもらうためのアプリなどは、Rx+事業創成部では対象にしていません。サービスを持続させるため、単体で収益性のあるものを事業化しようとしています。

デジタルなどの新たな領域でもアステラス製薬の強みを生かせるでしょうか。

(写真:加藤康)

 Rx+事業創成部では、アステラスの強みを異分野の知識や技術と融合して収益性のある新規事業を作ります。私たちの強みは、科学的根拠(安全性と効果)をきっちりと示して製品を販売する点です。医薬品は、動物での研究が終わった後、実際に人に投与する臨床試験で安全性と効果を客観的に示し、規制当局の審査を受けて承認を得ます。これは誰でもできる事業ではありません。60か国以上のヘルスケア分野の関係者にリーチできる営業体制を構築している点も強みです。

 Rx+事業創成部には、もともと研究開発部門や営業部門にいた様々なバックグラウンドの人材が集まっています。異分野業種と融合することが求められるので、工学系やITが専門の人材もいます。

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