近年、製薬企業からデジタルヘルスに取り組みたいという相談を受ける機会が増えている。トップダウンによる「デジタルトランスフォーメーション」の大号令がかかる中、各社ともにデジタル戦略の立案に苦労している。「どの分野に取り組んだらよいのか」「何から始めたらよいのか」「ベンチャー企業をどのように探せばよいのか」――を暗中模索しているようである。示唆になるかは分からないが、今回は、製薬企業の現状を踏まえ、製薬企業のビジネスモデルに関わりの大きいデジタルヘルスの活用法について一例を紹介する。

デジタルヘルスによる未来

 デジタルヘルスの台頭により、医療の在り方が大きく変わろうとしている。つまり遺伝子データや既往歴、日々のバイタルデータの統合解析により健康管理がなされ、ひとたび病気の兆候が察知されれば、高度な技術を持つ医師と最新鋭の人工知能(AI)により迅速な診断が下され、個々にとってベストな治療を受けて日常生活に戻っていく。製薬企業や医療機関の業務(オペレーション)もビッグデータ分析とAIに依存していく、という空想世界が想像に難くないところまで来ている。デジタルヘルスは黎明(れいめい)期を過ぎ社会実装のフェーズに入りつつある。

デジタルヘルスの分類

 デジタルヘルスとはITなどの先端技術を活用したヘルスケアソリューション全般を指す。主なデジタルヘルスサービスの対象は、(1)消費者(健常者、患者、および家族)、(2)事業者(製薬企業など)、(3)保険者(健康保険組合)、(4)医療機関が想定される。多くのデジタルヘルスベンチャーが日々新たなアイデアとサービスを生み出しているが、最近ではヘルスケア分野の事業者や医療機関が開発を進めている事例も散見される。応用例は、食事管理から介護ロボットまで実に幅広い。

サービス対象別の主なデジタルヘルス
(出所:新生キャピタルパートナーズ)
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