日本の介護を考える上で避けて通れないのが認知症の人のケアだ。内閣府の統計によると、2025年には65歳以上の高齢者のうち、約5人に1人は認知症になるとの推計がある。

 認知症の人をどう介護するか――。この分野においてもテクノロジー活用が進んでいる。

マイクロ波で徘徊を阻止

 認知症の人の介護で、注意しなければならないのが徘徊(はいかい)だ。被介護者が知らないうちに出歩いてしまうと、転倒などの事故につながる可能性がある。

 徘徊を防ぐ技術は以前から存在した。ベッドから離れたことを検知する「離床センサー」がそれだ。

 離床センサーには複数の方式が存在するが、介護現場によく導入されているのは、ベッドの脇にマット状のセンサーを置く「マットセンサー」タイプ。ベッドから下りるためにマットセンサーを踏むと、ナースコールなどで介護者に通知が届く仕組みだ。

 マットセンサーには一定の効果はあるものの、課題があった。まず、介護者がケアするときにはマットセンサーのスイッチを切っておかなければならない手間があった。また、被介護者がこの方式に慣れてしまうと、マットを踏まないようにベッドから下りようとして、かえって転倒してしまうリスクもあった。

 こうした問題に対処するため、ベンチャー企業のドーンコーラスは、24Gヘルツ帯のマイクロ波を用いて、被介護者のベッド上での行動を見守るシステム「もりん」を開発した。

 もりんの利用イメージはこうだ。被介護者が寝ている頭側の壁、頭から85センチ程度上方の位置に「子機」を設置する。子機はマイクロ波を発信しつつ、その反射波を受信する。発信時と受信時の周波数の違いなどを解析することで、被介護者がベッドにいるのかいないのか、寝ている状態なのかベッド上に座っている状態なのかなどを検知する。

「もりん」の子機
(出所:ドーンコーラス)
[画像のクリックで拡大表示]
もりんの子機を設置したベッド
(出所:ドーンコーラス)
[画像のクリックで拡大表示]

 介護施設内で複数の子機を設置すると、子機同士で無線LAN(2.4Gヘルツ帯)のメッシュネットワークを構築できる。このネットワークを介して子機のデータは事務室などに設置した「親機」に送られる。親機にはWebサーバー機能があり、各被介護者の状況を一覧表示できる。一覧画面はPCやタブレット機器などから閲覧可能だ。

もりんの管理画面
(出所:ドーンコーラス)
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら