人工衛星が撮影した地上写真などを使い、保険金支払いの迅速化に取り組んでいるのが東京海上日動火災保険だ。台風や集中豪雨で川が氾濫するなど大規模な水災害が発生した際に、人工衛星の画像データからAI(人工知能)が水災の被害地域や浸水の高さを推測し、調査員の配置検討など査定業務を支援する。2019年6月にも実運用を始める。

保険金支払いを迅速にする東京海上日動火災保険の取り組み
(写真出所:東京海上日動火災保険)
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 まずは予測した水災の被害地域を、立ち会い調査する要員の配置や損害査定体制の早期決定に役立てる。将来的にはシステムが「支払い対象である可能性が高い」と判断した契約者について、人による立ち会い調査を省き、支払い対象だと案内する計画だ。

 「保険金の支払い対象かどうかの判断を1~2日程度で下せるようになった」と損害サービス業務部(戦略推進チーム)の小林秀憲次長は話す。契約者にとっては、支払い対象だと素早く判断してもらえれば、修理費用の見積もりを業者に依頼するなど復旧への一歩を早く踏み出せる。

 現在は査定担当者が現地に向かい、契約者の家を1軒ずつ訪れ、立ち会い調査で支払い対象かを判定している。訪問日の調整や査定担当者の手配など、被災から判定まで長くて2~3週間を要する。「水災が発生すると家中が泥水で浸水し、生活の基盤が破壊される。契約者は一刻も早い復旧を望んでいる」と損害サービス業務部の小林次長は話す。

予測精度は9割以上

 これまで大規模な災害が発生するたび、査定に多くの人手を割いていた。例えば2018年8月に発生した台風21号が近畿地方を中心に大きな被害を出した際は、同社の顧客だけでも支払い対象が数十万件に上ったという。

 査定担当者だけでなく、営業や広報、管理部門などの部員も目の前の仕事をおいて総出で駆け付ける。それでも「大災害の際は顧客を待たせてしまうケースがどうしてもあった」(小林次長)。

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