三重県伊勢市で100年以上の歴史を持つ老舗料理店「ゑびや大食堂」を経営するゑびやも、気象データを活用する1社だ。気象データから来客数やメニューごとの注文数などをAIで予測する来客予測システムを導入した結果、「廃棄ロスを大幅に削減できた」と経営企画室の堀口千春氏は晴れやかな表情を浮かべる。例えば炊いた米の廃棄量を1日当たり6~7升から2升ほどと約7割減らせたという。

来客数や売れるメニューを予測するゑびやの取り組み
(写真提供:ゑびや)
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 従来は人が経験と勘で来客数を推測しており、予測が外れてしまうこともあった。正確に予測ができないと、「余裕を持って食材を持っておきたい」という心理が働く。「米だけでなく、カツオやタイなどの刺し身や松阪牛のローストビーフなど鮮度が重要な高級食材も無駄になってしまうことがあった」と堀口氏は話す。

 システムの予測精度は9割以上だという。過去の売り上げ実績と、晴れ/雨といった天気や最高・最低気温、降水確率、降水量の予報データ、自社サイトや飲食店の口コミサイトへのアクセス数、近隣の宿泊施設の宿泊者数など約400項目の影響因子をクラウド上に収集・分析して、予測モデルを基に1〜6日後の来客数を予測する。

 「様々なデータの中でも天気は来客数に大きく影響する要因だ」と堀口氏は話す。ゑびや大食堂は伊勢神宮近くの観光地にあり、愛知県など近場から訪れる観光客は雨天など天気が悪いと外出を取りやめるケースも多く、来客数が減るという。

 来客数の予測データから、1日後についてはメニューごとの販売数と必要な材料、時間帯別の来客数といったきめ細かな予測や分析をする。

 システムの運用を通じ、天気によって売れるメニューが変化することも分かった。雨の日は全料理に占める肉料理の割合が平均29%、魚料理の割合が23%と、肉料理のメニューの方が多く出る。一方、晴れの日は肉料理の割合が26%、魚料理の割合が28%と逆転するという。

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