自動運転を背景にクルマの内装やHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)が様変わりしようとしている。キーワードは「システム統合」だ。これまでバラバラだった各種システムを統合し、新たな価値を生み出す。そのための開発環境が整ってきた。モデルベースの開発ツールや、複数のシステムを統合するソフトウエア基盤の提案が相次ぐ。SoC(System on a Chip)の高性能化がますます重要になり、開発競争が激化する。

 自動運転時代の内装・HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)では、多くのシステムでデザインや操作性を統一することが課題になる。メータークラスターやインフォテインメント、HUD(ヘッド・アップ・ディスプレー)はそれぞれサプライヤーが異なる。これまでのように自動車メーカーが大まかな仕様書を作り、サプライヤーが個別に開発する手法では、統一感のある内装・HMIを実現しにくい。

 解決策として、自動車メーカーがシステム記述言語などを使って抽象度の高いモデルを作り、それに基づいてサプライヤーが詳細なシステムを作る「モデルベース」の開発手法が注目されている。ドイツ・フォルクスワーゲン(Volkswagen、VW)をはじめとするドイツ車メーカーはモデルベースのHMI開発で先行しているとの指摘が多い。

 HMI向けのモデルベース開発ツールとしては、独エレクトロビット(Elektrobit、EB)の「EB GUIDE」が有名だ。VWの次世代電気自動車(EV)「ID.」シリーズのHMI開発にも採用された実績がある(図1)。このツールはコンセプト検討からプロトタイプ開発、量産向けの詳細設計まで、共通のHMIモデルを利用できる。1つのHMIモデルで複数のシステムを開発することで、設計効率を高めるとともにデザインや操作性も統一しやすくなる。

図1 VWがEBのHMI開発環境を採用
(a)VWのEV「ID.」シリーズ。HMI開発にEBのツールを採用した。(b)EBのメータークラスターのリファレンスデザイン。(c)EBのセンターコンソールのリファレンス・デザイン。(写真:(a)はVW、(b)と(c)はEB)
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 異種ツールと連携した独自のツールチェーンを構築しやすい点も、VWは高く評価している。一般的なツールのファイル形式には標準で対応するほか、「特殊なファイル形式にもアドオン機能で柔軟に対応できる」(エレクトロビット日本)。過去に蓄積したHMIの設計資産を流用しやすい。EBは自動車メーカーの要求に応じて最適なツールチェーンを構築するサービスも手がける。

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