クルマの内装やHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)の分野で部品メーカーの連携や買収が活発化してきた。中でも目立つのが、シートメーカーと快適・安全装備メーカーの組み合わせだ。自動運転の際にシートが回転すると、ダッシュボードの機能にアクセスしにくくなる。そこで、さまざまな機能をシートに統合することで、利便性や安全性を確保する。航空機のように、シートごとに独立した内装・HMIが必要になってくる。

 自動運転時代の内装・HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)を考える上で重要なキーワードが2つある。「個別化」と「簡素化」だ。個別化とは、同じ車内にいても乗員一人ひとりが独立性やプライバシーを保てることを指す。家族でも車内でやりたいことは一人ひとり違う。複数の乗員が1台を共有するMaaS(Mobility as a Service)カーなら、なおさらだ。ダッシュボードに機能を集約するこれまでのデザインは通用しにくくなり、シートを中心にシステムを再構築する動きが出ている。

 一方の簡素化とは、ボタンやスイッチ類を極力減らして、シンプルだが多機能なデザインを追求することを指す。狭い車内で快適かつ生産的な時間を過ごすためには、内装・HMIを可能な限りシンプルにして空間を広げ、多様な過ごし方を可能にする必要があるからだ。簡素化と多機能化を両立するために、さまざまな物体の表面をディスプレーやセンサー、アクチュエーターとして利用する技術の開発が進んでいる。

 このように今後の内装・HMIでは、シートなどの車内インテリアにさまざまな電子システムを組み込む方向である。シートメーカーとインフォテインメント(家電)メーカーの連携が増えているのはこのためだ(図1)。今後はシートに限らず、ドアや窓、天井など、車内のさまざまな部位で部品メーカー間の連携が進みそうだ。

図1 企業間の連携や買収が相次ぐ
システムの統合化を目指し、シートメーカーやインエフォテインメントメーカー、エアバッグメーカーなどの連携や買収が活発化している。日経 xTECHが作成。
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 以下では、シート大手のフランス・フォルシア(Faurecia)や米アディエント(Adient)、内装・エアバッグメーカーの豊田合成の取り組みを紹介する。いずれも個別化や簡素化を強く意識した内容となっている。また、大手1次部品メーカー(メガサプライヤー)のドイツ・ボッシュ(Bosch)や同コンチネンタル(Continental)の取り組みも紹介する。こちらは内装そのものというよりは、多くのシステムを扱う“引き出しの多さ”を強みにする戦略がうかがえる。

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