独自のAI(人工知能)を簡単に開発したい。このニーズに応えるツールとして注目を集めているのが、追加学習が可能な学習済みAIのクラウドサービスだ。比較的少ない学習データでAIを開発できる上に、AI開発の高度なスキルやノウハウを必要としないとされる。

 世界3大クラウドの事業者では米アマゾン ウェブ サービス(Amazon Web Services)を除く、米マイクロソフト(Microsoft)と米グーグル(Google)の2社が提供している。Googleは画像識別の「Cloud AutoML Vision」、テキスト分析の「Cloud AutoML Natural Language」、機械翻訳の「Cloud AutoML Translation」の3つで、2019年5月17日時点ではいずれもベータの提供である。

 一般提供で先行するのはマイクロソフトだ。同年3月26日に、追加学習が可能な画像識別AIのクラウドサービス「Custom Vision Service」の一般提供を始めた。画像に映ったものを識別するAIを開発するためのサービスで、料理の種類、商品の品名、配送物のタイプなど、何を対象とするのかは自由に決められる。学習データを用意すれば、あとは簡単にAIを開発できるという。

 この記事ではCustom Vision Serviceによって、どういう学習データによってどれだけの精度の画像認識AIが作れるのかを試す。

 題材として1円、5円、10円、50円、100円、500円という6種の硬貨を見分ける硬貨識別AIを開発する。開発の流れは、(1)硬貨を映した画像ファイル(学習用と検証用)の用意、(2)画像ファイルのアップロードとタグ付け、(3)機械学習によるAIの生成と検証である。

 この流れに沿って硬貨識別AIを開発。どれだけの正答率になるのかを確かめる。その過程で、学習データの量によって正答率がどう変わるのかも検証する。

 開発するのは、AI開発経験の無い記者だ。AI開発の専門エンジニアから30分ほどの簡単なレクチャーを受け、その後に1人で開発に臨んだ。

(1)学習データと検証データの用意

 まず6種の硬貨を13枚ずつ用意し、学習データ作成用の8枚と検証データ作成用の5枚に分けた。

 硬貨は1枚ずつ黒い台紙に置いて、iPhone 7 Plusと標準カメラアプリで真上から撮影する。1画像に1枚の硬貨(表または裏)が入る体裁だ。iPhoneの高さは固定し、同一種の硬貨は一定の大きさで写るようにする。硬貨の向きも精緻ではないがほぼ一定にした。

硬貨識別AIの基になる学習用の画像
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