山下良則氏が社長に就いて2年超。リコーは新型複合機「IM Cシリーズ」を武器に攻めに転じた。ここまで来るのに2年を要したのは、リコーが負った傷が想像以上に深かったからだ。再び成長路線を描くため、山下氏は大勝負に出る。

 山下氏が社長に就任する直前の2017年3月期は連結営業利益が338億円と前期の3分の1の水準まで落ち込んだ。このため、就任1年目は不採算事業の整理や非中核事業の売却といった「止血」を優先せざるを得なかった。

リコーの連結業績の推移
写真:Getty Images
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 就任直後の2017年4月。2020年3月期までの3カ年の新たな中計を発表する場で山下社長が掲げたのが「過去のマネジメントとの決別」だった。リコーの5大原則だった「マーケットシェア追求」「MIF(Machines In the Field)拡大」「フルラインアップ」「直売・直サービス」「ものづくり自前主義」と決別し、利益重視の経営に大きく舵を切ると宣言した。

 ここから山下社長は矢継ぎ早に手を打った。半導体子会社のリコー電子デバイスを日清紡ホールディングスに売却し、赤字が続いていたインド子会社に対する財務支援も損失覚悟で打ち切った。

 さらに、コカ・コーラ商品の販売会社、コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス(BJH)の全株式も約560億円で手放した。コカ・コーラBJHの源流はリコーを創業した故・市村清氏が社長を務めた日米飲料だ。コカ・コーラBJH株の売却は「聖域を設けない」という山下社長の覚悟の表れといえた。

 構造改革の総仕上げが、2008年に過去最大の約1600億円で買収した米複合機販売会社アイコンオフィスソリューションズの減損だ。北米での販路獲得を狙ったが、買収直前にリーマン・ショックが起きて目算が狂った。その後も想定通りの収益を生み出せていなかった。

 そこで、アイコンなどを対象に1800億円弱の減損に踏み切り、2018年3月期は1156億円の営業赤字に転落した。過去最大の赤字を覚悟で、大ナタを振るった格好だ。

山下体制での主なできごと
時期内容
2017年4月山下良則氏が社長に就任
10月インド子会社に対する追加の財務支援を打ち切ると表明
10月半導体子会社を日清紡ホールディングスに売却すると発表
2018年2月リコーと関係が深いコカ・コーラ製品の販売会社の全株式を売却すると発表
3月北米の複合機販売会社の減損などで、2018年3月期決算は過去最大の赤字になると明らかに
5月物流子会社を中堅物流会社のSBSホールディングスに売却すると公表
2019年1月新型複合機「IM Cシリーズ」を投入すると発表
2月米シスコシステムズの日本法人とセキュリティー対策で提携

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