日本政府は2020年商用サービス開始予定の5G(第5世代移動通信システム)を「地方創生」に活用する方針を掲げている。実際5Gは地方創生にどこまで貢献できるのだろうか。KDDIがシャープらと2019年11月に北海道で実施した、5Gを活用した軽種馬の育成支援に関する実証実験から追ってみよう。

北海道新冠郡新冠町で実施された実証実験の様子。8Kカメラで軽種馬を撮影し、5Gで伝送することで軽種馬の細かな部分の育成具合を確認できるという。写真は2019年11月13日の「8Kライブ映像を活用した軽種馬育成支援の実証試験」より(筆者撮影)
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5Gでの地方創生に力を注ぐKDDI

 2020年に商用サービス開始を予定している次世代モバイル通信規格の5G。日本政府はその5Gを活用したデジタライゼーションを推し進めることで、少子高齢化などに苦しむ地方の社会課題解決につなげることに力を入れようとしている。

 そうした政府方針は、携帯電話各社に対する5Gの電波免許割り当てにも影響を与えた。実際、2019年4月に実施された5Gの免許割り当てに際しては、エリア整備の基準を従来の人口カバー率の代わりに、「基盤展開率」を新たな審査基準として打ち出した。これは、日本全国を10km四方のメッシュに区切った4500区画のうち、5年以内にその地域の基盤となる「高度特定基地局」を設置する割合を示すものだ。

 そして免許申請した4社の中でも、特にこの基盤展開率を重視して免許を申請したのがKDDIであったと言えよう。実際同社の申請内容を見ると、基盤展開率はNTTドコモに次ぐ93.2%。さらに、高度特定基地局の下に設置する特定基地局の数は合計で4万2863局と、申請した4社の中で最も多い数字を打ち出していた。

 結果的にそれが評価される形で、同社は希望通り3つの5G向け周波数帯域の免許割り当てを受けている。その充実した5Gの周波数帯と基地局を活用することで、KDDIは地方創生に力を入れる考えを示しており、既に63の地方自治体と協定を締結して5Gを活用した実証実験も実施している。

 また2019年5月には、独立系ベンチャーキャピタルのグローバル・ブレインと共同で「KDDI Regional Initiatives Fund 1号」を設立。地方創生推進を目的としたベンチャー企業などへの出資を進め、5Gを活用した地方創生の取り組みを加速しているようだ。

KDDIは5Gを活用した新しい体験の提供だけでなく、地域課題の解決に向けた取り組みも積極的に進めているという。写真は2019年11月13日の「8Kライブ映像を活用した軽種馬育成支援の実証試験」より(筆者撮影)
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